―序章― 始まりの朝 ページ1
「ふあーぁ……」
朝日の差し込む部屋の中、
寝癖で少しふわっとした黒髪と、ぴょんと立ったアホ毛が姿見に映る。長い春休み明けの暖かい日に、早起きするのはとても眠く感じた。
着替え終わると、とある仏壇の前に座る。数年前あの事故が起きてから、裕也は度々ここに座って報告をするようになった。
「……姉さん。僕、今日から高校生なんだ。早いでしょ。姉さんだったら『え、もうそんなに大きくなったの!?』って笑うかな」
静かに手を合わせ、写真の中で微笑む姉に微笑み返した。
「
行ってきます、と裕也は呟き、もう一度目を瞑って手を合わせてから家を出た。
心地良い快晴と春風に、余計に裕也の胸がちくりと痛む。だが、それを振り払うようにぶんぶんと首を横に動かして、裕也は駆け出した。
「裕也!」
道の向こうから、聞き慣れた声がした。顔を上げると、銀髪に青いメッシュの入った少年が、裕也に向かって嬉しそうに手を振っている。
「翔!! おはよう!」
昨晩も遅くなるまでメールで話していた親友の姿に、裕也もすぐさま駆け寄った。
「おはよう。高校、同じ所へ行けて良かったね。裕也とクラス一緒になれるかな?」
「なれたら良いよね! 僕、翔と一緒の学校に通えるのが嬉しくて。翔は自己紹介の時、緊張しないように気をつけないとね!」
「えぇ、上手く出来るかなぁ……。裕也は知ってると思うけど、やっぱり恥ずかしいな……。この髪型だって、校則では大丈夫だけど、何て言われるか分からないし……」
翔は女子と話すのがあまり得意ではない。そんな弱気な自分を変えるために青のメッシュを入れたのだが、やはり緊張してしまう。自分よりほんの少し背の低い翔の肩を――裕也も小柄だが――、ぽんと叩いて裕也は言った。
「大丈夫だよ! 翔と僕は親友なんだし、何があってもその絆は守るよ!」
「ありがとう……」
翔が口元をほころばせた、その時だった。
「……何……あれ?」
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占いウサギ - くろーさぎさん» ありがとうございます! (2019年12月6日 15時) (レス) id: 81ed388108 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 占いウサギさん» 確認しました!お気に入り登録しておきますので、話が進み次第、アドバイス等させて頂きますね! (2019年12月6日 7時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
占いウサギ - くろーさぎさん» 棺桶ゲームです!まだ本当に書き始めたばかりです。(プロローグと一話くらいしか書いてない……) (2019年12月6日 6時) (レス) id: 81ed388108 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 占いウサギさん» ありがとうございます!!デスゲーム系は大好きなので、ぜひ私で良ければ!!作品名を教えて頂けますかね? (2019年12月5日 19時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
占いウサギ - 読ませていただきました。とても面白かったです!実は私もデスゲームの小説を書いていまして……(書き始めたばかりなのですが)是非見て頂いて、アドバイスがほしいです。わがまま承知です、すみません! (2019年12月5日 18時) (レス) id: 81ed388108 (このIDを非表示/違反報告)
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