storia6-3 〃 ページ30
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「小娘。貴様が何故此処に居る。」
これやばいとこに入っちゃったやつか。
ようやく動くようになった体に鞭を打ち、ドアノブを捻る。
「無駄だ。鍵は閉めた。」
……っ。
「……小娘。
貴様、仁兎と会ったことがあるのか。」
仁兎……に〜ちゃんのことか。
知っているどころか一緒にバンドやってましたよええ。
でも。
言っちゃいけない。
そう私の勘が言っている。
だから何も言わずにただピンク髪を睨み返した。
数秒後。
諦めたようにピンク髪はため息をついた。
「まあ良い。
双子。彼奴は何処に居る。」
「んー何処かはわかりませんが、お出掛け中ですね。
でも、もう少しで帰ってくると思いますよー。」
ピンク髪の人が問うと、突然どこからか声が聞こえてきた。
上か？前？
「あぁそっちじゃないよ。
こっちこっち。」
いつの間にか後ろのドアが空いていて、そこに二人の人が立っていた。
それも、そっくりな。
「小娘を部屋に連れ戻しておけ。
逃がしたら何を言われるかわからないからな。」
「了解しましたー。
ってことでごめんね。
後ろ失礼しまーす。」
あっという間に私の手が後ろで拘束される。
縄脱けは……できそうにないかな。
時間があればできるかも。
「じゃあ斎宮さん、お邪魔しましたー。」
そう言うと、片方が私を俵担ぎして歩き出した。
ん!?
俵担ぎ!?
「うぇっ。」
「あっ喋った。」
そりゃ人間なんだから喋るわ。
というか下ろせおい。
「あっ、ちょっと暴れないで！落としちゃう！」
落としてくれて良いんだけど。
「アニキ……下ろしてあげれば？」
「えーでも逃げるかもよ？」
「大丈夫。彼女は逃げないから。
……ね？」
目が怖いっすアニキじゃない方さん。
わかった。わかったから下ろしてくれ。
という意味を込めてこれでもかというほど首を上下に動かす。
「むー。ゆうたくんがそこまで言うなら……はい。」
やっと解放された。
しんどかったー。
「あ、そうだ。自己紹介してない。」
突然立ち止まると、アニキは私の前に移動した。
「初めまして。
俺は王女様の世話を仰せつかった『葵ひなた』です。
こっちは俺の弟の『ゆうた』。」
「兄弟もろとも、宜しくお願い致します。」
そう言って頭を下げた二人の姿は、どこか胡散臭かった。
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