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HIRO「Aのお母様だよ」
意味がわからずボケっとしてる俺にHIROさんが小声で教えてくれる。
全ての歯車が噛み合った。
確か、この人は当時人気だったモデルの男性と結婚したが、W不倫で離婚。
その2人の間には1人娘がいたと聞いたことがあった。
Aの話とピッタリ合わさる。
母「だって、Aいくら連絡しても出てくれないじゃない」
A「当たり前でしょう、私と貴方は縁を切ったんです」
母「こうしたら私と会わざるをえないだろうって…」
怒りを露わにするAと悲しそうに眉を下げるお母さん。
2人の間に何があったのか、全てを知らない俺が口を出すこともできずにいた。
A「今まで私のことなんて放ったらかしだったのに、何を今更…
私がどれだけ頑張ってここまで来たのか知らないくせに…」
母「Aのことなら私が1番分かってるわよ
だから、私とNYで暮らそう?」
A「ふざけないで!とにかく帰ってください!」
こんなに怒ったAを見るのは初めてだった。
いつも笑顔の彼女がどれだけのものを抱えていたのか、痛感する。
そして、Aは会議室を飛び出して行った。
「離さないで」と言われていた手をAが離して行ってしまう。
HIRO「津田さんは仕事をしただけと思ってるかもしれませんが、貴方の記事1つが人の人生を左右することをお忘れなく
そして、今後またウチのアーティストを傷つけるようなことがあれば、こちらも容赦しませんので」
と笑顔で言い放ったHIROさんの言葉は完全に脅迫だった。
津田と呼ばれた記者はそこを出ていって、俺とHIROさん、Aのお母さんだけが残される。
母「困りました…こんなに話を聞いてくれないなんて…」
壱馬「もっと、貴方がAのことを知ろうとしてあげてください
Aの事なら俺の方が分かってます
Aがどんな思いで、どれだけ努力して、今ここにいるのか分かろうとしてあげてください
母親の貴方にしかしてあげられないこと、あるんじゃないですか?」
まるで自分が被害者のような顔をするお母さんに苛立った俺はまくし立てるように言って、Aを追って会議室を出た。
会議室の外に立っていた亜知さんが「たぶん屋上」って教えてくれたから、俺は屋上まで走って向かった。
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KK - 昨日、今日で全て読んでしまいました!ついついハマってしまう物語で凄く続きが気になってしまいました。色々と大変かとは思いますが続きの更新楽しみにしてます。 (2021年2月23日 17時) (レス) id: 327e744779 (このIDを非表示/違反報告)
ANAPON(プロフ) - 理香さん» 理香様、ありがとうございます!そのお言葉が励みになります! (2020年12月3日 21時) (レス) id: 764df54ed6 (このIDを非表示/違反報告)
理香(プロフ) - 初めまして!凄く良い話でしたので一気に読んでしまいました。続きが楽しみです。 (2020年12月3日 11時) (レス) id: cc5fb30d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ANAPON | 作成日時:2020年11月26日 22時