第2話 ページ17
宇髄side
そして俺は、片目と片腕を失った。
『……』
その時のAの顔は、今でも忘れない。
壊れそうなほど悲痛な顔。
声をかけようとしたら駆け寄られて。
『……っっ、よかった……！』
泣きじゃくった。
『私っ、なに、も……できな、ぃから…っ…それが、……くやしくて……！』
自分の無力さを呪っていた。
『待つとは、こんなにも…苦しいなんて、知らなくて……』
本当の孤独を知った。
『おかえりなさい、皆さん』
泣きながら笑うAは綺麗だった。
「おう、ただいま」
「ただいま、A」
「……っうわ〜ん！A、泣かないで〜〜！」
「アンタまでつられて泣かないの！もう！」
4人の嫁を隻腕で抱きしめる。
「頑張ったな、特にA」
『え』
「そうですね、1人で待ってくれてありがとう」
「家を守ってくれてありがとね」
「おかえりって言ってくれて、ありがと〜」
各々の言葉にAは再度涙ぐむ。
『はい、私は皆さんの家族ですから』
「これじゃあ俺はもう刀は握れないからな、引退だな」
『はい』
「お前が1人だった時間は長かったと思う。その詫びだ、たくさん一緒にいりゃあいい」
「やったァ！Aとゆっくりできるんですね！」
『っ、はい、嬉しいです…』
なんて、落ち着いた頃に
「は？？」
Aの親がAを返せてと怒鳴り込んできたと報告があった。
「雛鶴、鎹鴉を飛ばせ」
「はい」
「まきを、お前は別方面から情報を集めろ」
「はい」
「須磨……は、Aの身支度を手伝っててくれ」
「はいっ」
屋敷へ向かいながら、情報を確認する。
『…はあ、やっぱり』
「心当たりあるか？」
『何となく、ですが…』
言葉の歯切れが悪かった。
「着けば分かるだろ」
『そうですね』
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作者名：あまんだ | 作成日時：2024年1月19日 3時
