例え悪女と呼ばれても

~一話~ ページ2

「みんなおはよぉ」


音符がつきそうなほど明るく振舞う私。

だってそうしなきゃここで生きてけない。


「う…おはよう…」


みんな避けて行く。

気さくな子は顔を歪ませながら挨拶。

やっぱりみんな香水の香りが嫌なのかなぁ。

最近ブランドのに変えたのにぃ…


「うふふ」


暗い暗い自分の気持ちを振り払うために笑う。

気持ち悪いって思われてるのも知ってる。

誰からも避けられてるのも。

嫌われてのも。


「はい座れー」


先生が入ってきて、みんな音を立てて座る。

私は得意のアヒル口。

両手で頬杖をついてね。

まぁ、こうしても可愛いって思われることは無いって、とっくに耳に届いてるけど。


「今日は転入生がいる。みんな暖かく迎えるんだぞー」


教室がざわめき始める。

ふぅん…転入生ねぇ…。

面白そお。どんな子かしらぁ。

私より可愛かったら許さないけど。


ｶﾞﾗｶﾞﾗ


「ふ、ふえぇ…あ、あの初めまして。ぁ…水崎Aって言います！よ、よろしくお願いしましゅ！
　あ…噛んじゃったよぅ…ふえぇぇん」


はあ?

何この子ぉ。

ありえない。こんなわざとらしい子がクラスに馴染める訳無いじゃん。

そう思って周りを見渡してみる。

すると…



「ｶｧｧｧ」

顔真っ赤な子。


「可愛い…」

鼻血を垂らす子。


「えっあっ嘘…」

女子までも顔を赤らめてるし。



自分の奥から今までの怒りも嫉妬も全てくるんで、抑えきれなくなった何かがこみ上げてくる。

吐き出しそうになりながら、その何かに心が呑み込まれて。


何のあの子。

ムカつく。

私の存在を。

無にする存在。

そんなの。



死んじゃえばいいよね…?

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