65 オベンキョからのショートケーキ ページ16
練習試合の準備をしていたときだった。
「旭さん、頭かっけぇっすね！ 紐！」
「ひっも!」
「いやA笑うなよ……お前の姉の影響だぞ……」
「え、潔子さんすか？」
「いや、この前……」
旭が言うには、きよに「東峰、いつもピッチリ結びで将来ハゲそう」という発言をされたらしい。
「きよ……ナイス」
「Aー!!!!」
「おいお前らさっさと準備すんぞ!!」
**
「そろそろ休憩しませんか先生」
「あと十分」
「鬼畜」
練習試合で勝利し、約束の土曜日。
私は月島くんの家でオベンキョしていた。
「月島くんっていつもこんなに勉強してんの……?」
「半分くらいですかね」
「へえ……」
偉……。
「さっさと問13やってください」
「ウィッス」
黙々と問に取り込み、答え合わせもしてもらうと、15分ほど経っていた。
「うーがんばったどー!!」
「休憩にしますか」
「ありがとうございますー! ん? どこ行くの?」
「Aさんも準備してください」
「うん……????」
「ん!! え、美味しい!!!」
月島くんが連れてきてくれたのは、町外れにある小さなケーキ屋さんだった。
「なんかすごい通っぽいケーキ屋さんだよねえ」
「……まあ、すき、なんで」
そう言って月島くんが食べるのは、私にオススメしたのと同じショートケーキ。
「……ナンデスカ」
「んーや?? やっぱかわいいなあって」
「ハア?」
「ﾋｯ」
月島くんは私をギロリと睨んだあと、呟いた。
「……かわいいのはアンタだろ」
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作者名：紫 | 作成日時：2020年2月5日 6時
