16音 遠い場所にいた君 ページ18
「一度原先輩と出掛けたかったんスよね〜!」
夏休みに入った。
黄瀬と待ち合わせ、嬉しそうな幼馴染みの後輩と街を歩く。
一応変装なのか、そう言う黄瀬はキャップを被りサングラスをしている。
高校生がサングラス、なんて一瞬思ったAだったが、アメリカでは普通に居たしなにより黄瀬は似合っている。
「笠松先輩、夏期講習とか残念っすよねー」
三年は大変だなあ、と黄瀬は呟く。
「あれ? ていうか原先輩は? 夏期講習ないんスか?」
-補修は無いし、受験対策の夏期講習は希望者だけだから-
「へー。原さんって、帰国子女なんスよね?? 卒業したら向こう戻るんスか?」
その言葉に、どきりとした。
微かに震える指で、文字を打つ。
-戻らないよ-
-二度と-
-戻らない-
**
「ひさびさの買い物が嬉しくていっぱい買っちゃったッス!」
笑顔でフラッペを飲む黄瀬に、思わずAも笑顔になる。
「あーあ、黒子っちともこのお店来たいんスけど……」
-誰?-
「あ、黒子っちっていうのはオレのソンケーしてる人ッス!! バニラシェイクが大好きで。こういうカフェとか行きたいんスけどいつもマジバなんスよね〜。あ、写真あるッスよ!」
そう言って黄瀬が見せたのは、水色の髪の青年とのツーショット写真……かと思ったが、若干、赤髪の青年が写っている。
その青年を見てAは、動揺した。
-この人-
「ん? ああ、こっちは火神っちッスよ! 今の黒子っちのチームメイトで……原先輩?」
なにをしているのだろう。
Aは、自分の行動が理解できなかった。
Aは、火神に電話をかけてしまったいた。
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作者名:紫 | 作成日時:2019年3月6日 1時