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5音 旋律 ページ7

優しいメロディーが防音室に響き渡る。

時折スタッカートをいれたり、拍を伸ばしたり。


言葉の出ない今のAは、音楽が一番のコミュニケーションツールだった。


初めて、笠松がギターを手にし、二人で曲を作ったあの日。

ロサンゼルスに行くことになり、笠松と別れたあの日。

私がひとりぼっちになった、あの日。



(あ、ダメだ)


これは、音にできない。

音にしてはいけない。



だめ、だ。

きっとまた苦しくなる。



ーーみんなが死んだ、あの日みたいに。




私はきっと、もう音を生み出せない。

そんな私は、もう価値がない。


だったら、どうすればいい?



苦しい。

寂しい。

悲しい。



あぁ、やめて。

とまって。


夢から、


覚めて。



(……夢、か)

ほっと息を吐いて、Aは起き上がった。

時刻は5時30分をまわったところ。

早いけれど眠れそうになかったので、キッチンへ向かい朝食の準備をはじめた。

プルコギをはさんだディナーロールとツナサラダ。
グラノーラ、そしてココア。

テレビのニュースを見ながら、食べ始める。

(いただきます)


この前、笠松母の作ってくれたハンバーグが美味しかったので、今度レシピを教えてもらおう、と考えながらもぐもぐ食べていると、インターホンが鳴った。

笠松だった。

6音 ティータイム→←4音 できたてハンバーグ



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設定タグ:黒バス , 笠松幸男 , 失声症   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2019年3月6日 1時

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