エルフ騎士とヒーロー悪魔のすれ違い (ページ1)

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１話「ふざけた悪魔」　その１ページ1

Me
・レグナドス王国国境沿い

「＿＿それでね、ルーベリア。あの子ったらまた＿＿」
「ふふ、それは大変でしたね」
「そうなのよ！でもとっても楽しかったわ」

　カタカタと揺れる馬車の中、私とお嬢様の何気ない会話が続く。一般的な馬車よりは快適だが、整備されきっていない道を走っているためかなり揺れる。そんな窮屈な場所でも、楽しそうに私に語り掛けるお嬢様はとても素敵に思えてた。
　私の名はルーベリア。ルーベリア・スタンラクト。エルフの里で生まれた私だが、怠けきった里に嫌気を差して家出するように里を出た。今はレグナドス王国の騎士団に所属して、努力の末に名誉あるお嬢様の側近を務めている。騎士として、私はとても誇らしい。

「ねえルーベリア、出発してからどのくらい経ったかしら」
「えと…2時間と20分ですね。もうすぐ国境付近ですし、検問所が近いはずです。そこで一息つきましょうか」

AI(少しMeが手直し)
「そうね！」お嬢様が明るく笑った時だった。突如、ガシャンッという音と共に地面が大きく揺れ始める。この突然の揺れの原因を探るべく私たちが乗っている馬車から出ると...
――道を塞ぐように倒れた巨大な倒木があった――
幸い、馬車やほかの騎士たちに被害はなかった。だが問題はそこではない。倒れた倒木に目を向けると一人の人間らしき人物が、その倒木の上に座り込んでいた。

Me
「ようこそ、ようこそ。お集まりいただき、誠にありがとう」

　倒木の上で不敵な笑みを浮かべ、ゆっくりと拍手をしながら私たちを見下ろす。……なんだ、何の真似だ？私は理解が追い付かず、お嬢様も困惑した表情を浮かべていた。
　彼の目的は？狙いはお嬢様？なぜわざと姿を晒すような真似をし、こんな芝居まがいなことをするのだ……？考えれば考えるほど、疑問が湧き水のように溢れ出る。
　そんな私たちを余所に、彼の口がまた開く。

「悪いなあんたら、ここから先は通行止めなんだ。引き返してもらえないかい？」
「……貴様、何の真似だ！」

　若干の苛立ちを含めながら男に向かってそう叫んだ。このふざけた態度とヘラヘラした面をしている男は、形こそ普通の人間だが私の目は誤魔化されない。
　ローブで見え隠れした黒いウロコ、染み付いた僅かに漂う血の匂い、変わった魔力の流れ。男は明らかに魔族であった。