異世界の彼らとリアルな私の食事情 (ページ30)

今日:15 hit、昨日:11 hit、合計:621,548 hit

品番29 ページ30

リビングに戻り椅子に座って手を合わせる。

『いただきます』
そう言っては箸を使いツルツルとラーメンを啜る。久々に食べたがやっぱり美味しいなぁ…余程お腹がすいていたようで、直ぐにラーメンも卵スープも飲み干してしまう。

一時の休息と共に後ろを振り向く。
椅子から立ち、歩み寄るのはあの二人組が出入りしたクローゼット
手を伸ばし、掴んではゆっくりと戸を開いていく…そこにはやはり捻れたような空間があり、何処と無く吸い込まれるように内側に風が吹いている。

『…ほんと、これなんな訳』
引っ越してそうそう災難続きと言うかなんと言うか、私は好奇心で手を伸ばす、

『…！？あ、ちょっ、！！』
その空間に手を近づけたとたんに、ぐにゃりと手が捻れ、その空間に呑み込まれていく、体を引くが呑み込む力のが強いのかどんどんと消えていく腕に流石に焦りだす
そんな健闘も空しく、体は意図も簡単に引きずり込まれる。

一言で言うなら気持ち悪い
体の至るところを引っ張られたり押されたりしているような、臓器が引っぱられるような…ああ、絶叫ものに乗っているような気分。
体がどっちに向いているのかもわからない。だが、ピカリ、と視界に光が見えたと思いそちらに必死に手を伸ばす。

スポン！
なんて音が鳴りそうなほど綺麗に吐き出された私だが、変な体勢のまま出てしまい、あ、マズイと思ったのも遅く、バンっ！！と大きな音をたてながら地面に叩きつけられるのを最後にプツリ…と意識を落としてしまう

????side

腹へったな
上の空な表情のまま両手には大量の資料を抱え、のそのそと重そうに足を動かす

バンっ！！！
「…ん？なんの音や？」

監視室の方からやろうか、何かぶつかるような音を耳にし俺は扉を開ける、その先には見覚えのない人物を視界にとらえる
手に持つ資料を机におき、慎重に近寄っていく。
膝をつけ座り込んでは覗きこむようにその人物を見れば、一瞬かちりと止まってしまった

瞑られてしまっており見えない双瞳が何処か儚さを醸しながらも、ほんのりと染まる頬、浅く開かれ呼吸をしている血色のいい唇、細く握れば折れてしまいそうな手首、服は軽く捲れており、肌が見えている、白く焼けてない肌や…なんて観察していればしているほど、今まで感じたことのないような高揚感が込み上げてくる
これは…

「あ、まじか…」
一目惚れってほんまにあるんやな
そう言いながら資料の事なんて忘れ相手を抱き上げれば愛しげに見つめ監視室を後にした