鬼が好きな少女は。参

佰陸 ページ6

「働く事を許してもいいが、Aできるのか？」
「えっ？」


無惨さんは少し眉をさげ、膝をついて私を見上げた。
相変わらず無惨さんは今日も素敵である。


「Aはあまり山から出なかったのだろう？時々山から下りるだけで」
「できます！何でもやり遂げてみせます…！」

無惨さんは困ったように優しく笑った後、頭を撫でた。

「まずはちゃんと外の勉強をしてからではないと働けない。接客は玉壺にでも教わればいい」
「玉壺さんはせっきゃく？働いた経験があるのですか？」
「玉壺に教わればきっと素晴らしい接客が出来るようになるはずだ。玉壺はプロだ」
「ぷろ？」


聞き返すと無惨さんは力強く頷いた。


「分かりました！玉壺さんの元でせっきゃくというものを学んでから仕事探しに行こうと思います！」
「頑張りなさい」

無惨さんは赤い瞳を細めて微笑んだ。


無惨さんを見送った後、早速玉壺さんにせっきゃくを学ぶ事にした。


「玉壺さーん！」
「ヒョッヒョッヒョッ……これはこれはA様。いかがされました」
「玉壺さん、私働いてみんなに何か…えっと、せっきゃくを教えてください！」
「ヒョッ…せっきゃく？」


玉壺さんは固まった。
そして、何やら考え出した。

「…分かりました接客ですね……」


玉壺さんはまた固まった。

「大丈夫ですよA様〜！この玉壺が素晴らしい接客を…そうです、まずは笑顔！」
「こう？」
「ヒョッヒョッヒョッ……もっと、笑顔です」
「ひょっ、ひょっ、ひょっ……こんな感じ？」
「ヒョッ」
「え？ヒョッ…？」

そして……



私は玉壺さんから教わった【接客】を完璧にした。

そして、黒死牟さんをはじめとした審査員に見届けられながら、テストを、する事になった。


「ちょっと玉壺に教わったってところから怪しいんだよね〜！」
「なんか、Aの様子がおかしいわ！お兄ちゃん！！」
「なぜあのお方は玉壺に接客を…」


お客さんは黒死牟さんと猗窩座さんである。


鳴女さんが、襖を出して、黒死牟さんと猗窩座さんが店に入って来た事を再現した。

玉壺さん、教わったこと無駄にしないよ！
私は玉壺さんを見て強く頷くと、玉壺さんは力強く頷き返した。

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