鬼が好きな少女は。参

佰肆拾玖 ページ49

鬼舞辻side




『ずっとずっと今回は一緒』ではなかったのか。
嘘つきA。




冷えきった肌に優しく触れると、涙が溢れて止まらなかった。
神は私を許した訳ではなかった。


またAは十八で死んだ。

死因は癌。

私と出会ってすぐに病気が見つかって、あっという間に亡くなってしまった。



なぜ。
なぜAが死なねばならないのだろう。


彼女が鬼の始祖だった者を愛してしまったから？


そんなのどうだっていい。


その後何度も生まれ変わり、私だけ記憶があり、彼女にはなかった。
またやり直そう、やり直そう、やり直しても、彼女はすぐに逝ってしまう。





もう、私は人を愛してはいけないのだろうか。
たくさんの命を奪った罰なのだろうか。



なぜ。

もう彼女を十八で、あんな若さで殺すのは止めてくれ。
もう私は彼女を愛さないから。




「見つけた！無惨さんっ！」



顔を上げると、ランドセルを背負った少女が立っている。


「……誰だ」
「Aです！！無惨さん、忘れちゃったんですか？」



Aは笑う。
いつもは記憶を無くしているのに。今回は記憶があるのか？


「今回は無惨さんは中学生なのですね！だんだん近付いて来ましたねっ！！」


そうだ。よくよく考えてみたらだんだん歳が近付いている気がする。



「……私に近づくな。私はお前が嫌いだ」
「嘘だ！嘘つき、無惨さん！！」


彼女を置いて歩き出すと、二つ結びの可愛らしい少女が腕に抱きついてくる。



「私は大好きですっ！！何度生まれ変わろうともずっと、ずっとずっとずーっと無惨さんが好きなんです！！」
「ふっ、やめろ」
「嫌です！」
「止めてくれ…」


「……嫌です！」
「十八で死ぬ事になってもいいっていうのか！！」


Aに怒鳴ってしまった。


Aは目を丸くした後、頷いた。

「やめろ、そんな目で見るな…」
「私、言いましたよね。無惨さんに会えない方が辛いんです」
「私はいつも置いていかれる！！」
「……！…ごめんなさい…」


違う彼女を謝らせたいわけじゃない。

「でも、今回は私、生きられそうな気がするんです！」
「……お前のその謎の自信はどこから来るんだ……」
「生きてみますから。見ててください」



私とAはとうとう五歳差まで縮んだ。そして、


十八歳誕生日を迎えた。
私は二十三で、彼女の家族にも挨拶に行くような間柄になっていた。

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