鬼が好きな少女は。参

佰肆拾漆 ページ47

「えへへ、無惨さんに言われると嬉しいです！」
「あぁ、もう……A…」


無惨さんは何故か疲れた顔をしている。

「私は要は、Aが好きだから、欲しくて堪らない」
「私は無惨さんのものですよ？」
「あぁ、そうだが、違う、そういうことではない」


無惨さんは、ああ！と言いながら私を抱き上げた。


「無惨さんっ！高い高い？」
「違う」
「え？」


スっと私を抱き上げたまま扉を開ける無惨さん。




「こういう事だ。だからあまり私を煽ってくれるな」


目を細め、私をベッドに置いた。



「っ、無惨さん……」
「…分かったか？A」
「無惨さん、カッコイイ…」

目を細めた無惨さんがこんなにもカッコイイなんて。
昔の私は周りを見てなかったから分からなかった。
今は様々な人を見て、ドラマとか少女漫画とか色々な知識があるからもう、胸がトキメキっぱなしである。



「……あぁ、もういい」



無惨さんは私をベッドに押し付け、軽く口付けた。



「我慢しようとしたが、Aが悪い。三十の男にされてしまった事を後悔するといい」


無惨さんはスっとベッドから離れた。



「……！！」


私はベッドから降りて、無惨さんに後ろから抱きついた。



「後悔なんてしませんっ、無惨さんは無惨さんで、歳なんて関係ありません……！」
「ほう？」
「無惨さんっ、もっと……もっとして欲しいです……」


ギュッとまた抱きつくと、優しく頭を撫でられた。



「…パスタがあと少しでできるから。待っていてくれ」
「…っはい」




はぐらかされたのかな？


でも、私の想いはちゃんと伝えられたからそれでいいや。





その後、無惨さんとトマトクリームパスタを食べて、一緒に片付けをした。


ソファーに座って熱いほうじ茶を二人で飲む。




「美味しかったです……！トマトクリームっ……」
「それは良かった」


無惨さんは優しく笑う。




「A」
「はい？」


顔を上げると優しく口付けられた。


そっと手に持っていたほうじ茶のコップを奪われる。



優しくソファーに倒される。


「…無惨さん」
「待っていてくれ、と言っただろう？」




その言葉にキューンときてしまう。



「はいっ」


そう言って喜んでいると、無惨さんに抱きしめられる。



「まだAは十六だから、キスだけだ」
「えっ？」


無惨さんは笑って私を抱き締めたまま、テレビを見始めた。

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