鬼が好きな少女は。参

佰参拾玖 ページ39

「お前は……それでいいのか…？本当に＿＿＿私はお前が思っているような者ではない。沢山の人間を殺し、喰らい、恨まれ…きっと私の向かう先は辛く苦しくキツい険しい道だろう」



無惨さんは目を細め、私から顔をそらした。



「えぇ＿＿＿お供させてください」


無惨さんは苦しそうに顔を歪めた。



「お前の親を殺したのも私なのだぞ？」
「はい」
「お前の父も母も兄も…全て私が原因というのに＿＿＿＿」




「…はい」


私が頷くと、無惨さんは眉を下げる。


「…お前に苦しい思いをして欲しくはない。お前はただ私に捕らえられただけ。お前は藤の花の向こうで家族と再開すればいいだろう……」
「再開しても、私の心には無惨さんが居ました。私は無惨さんが親の仇だろうと、人殺しだろうと＿＿＿もう離れたくないんです。私、無惨さんが好きなんです。私を優しく愛してくれた無惨さんが好きなんです、あなたが好きです。離れたくなんてないんです」




ゆっくり無惨さんの手を握る。



「一緒に罪を償います。お供させてください。無惨さん」





「…すまなかった」
「いいえ、もう私はいいんです」



無惨さんを抱きしめて、私達は沼の底に堕ちていった。





＊＊＊









＿＿＿＿＿Aっ！何来てんのよ！！あんたは違うでしょ！？はぁ？何ヘラヘラしてんのよ！バッカじゃないの！？……あんたは藤の花の向こうでしょう？


＿＿＿＿Aは無惨様と来られたのかああ？愛だなああ！




＿＿＿ヒョッヒョッヒョッ…A様も来られたのですね！

＿ヒィィ！恐ろしい、恐ろしい！！


＿＿＿＿また会ったな、A。俺も俺の大切な人と会えた。罪をちゃんと償うつもりだ。



＿＿＿あー、もう、Aちゃん食べれないで死んじゃった〜。今度こそって……無惨様、冗談ですよ〜




＿＿＿……A、もう呼吸は辛くないか…？……そうか。辛くないか。……良かった。







＿＿＿＿＿A、もし…全ての罪を償い、生まれ変わる事が出来たら＿＿＿＿






『私をまた愛してくれないだろうか』

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