佰参拾弐 ページ32
「ゴホッ…ゴホッゴホッ」
私の咳はどんどん酷くなっていく。
でも、みんなが毎日シーツを取り替えてくれたり身体を綺麗にしてくれたりしてくれるから多少は落ち着く時がある。
そんなある日
「……A?」
久々に聞く、大好きな方の声。
身体がダルいけど、無理矢理身体を起こす。
「無惨さんっ!」
笑顔だろうか。
ちゃんと笑えているだろうか。
最近はどんどん痩せていく。
顔色は大丈夫だろうか。
「A」
無惨さんは私を抱きしめる。
久しぶりの感覚に嬉しくて涙が出てしまう。
「ゴホッ…無惨さん、寂しかった…です」
ギュッと抱きつくが、上手く抱きつけない。力が入らないのだ。
「A、済まなかった。最近、少し忙しかったのだ…しかし……」
無惨さんが優しく頬を撫でて、眉を下げる。
「どうしたのだ…!!どういうことだ!!ただの風邪ではないのか…!?」
無惨さんが震えて、私を見つめる。
「明日、ゴホッ……童磨さんが、信者の人達に頼んで私を医者の所に連れて行ってくれるそうです」
さすがに血が出たとは無惨さんには言えない。
私もただの風邪だと思って、いつか治るだろうと思っていたが、血を見て、さすがに医者に見てもらおうという話になったのだ。
「無惨さん…」
ゆっくり無惨さんの頬に触れる。
「私、無惨さんが居てくれるだけでもう、十分です」
「馬鹿な事を言うな。次、同じ事を言えばいくらAでも怒るぞ」
無惨さんは私を優しく抱きしめた。
「外で働きたいのだろう?早く回復してそれを叶えようと思わないのか…?」
「思います、私、ゴホッゴホッ働いて、みんなに、ゴホッ…買いたい……」
少し疲れて無惨さんに寄りかかっていると、無惨さんはゆっくり布団に寝かせてくれる。
「すぐ戻る」
「…行かないで」
小さく呟けば無惨さんは泣きそうな瞳をして私を見る。
「やめておくれ。Aに引き止められたら、もうどこにも行けなくなってしまう」
私はてっきりもう少し後、鬼殺隊のみんなが無惨さんと戦っている時に死ぬのかと思っていたが、それは長く生きれたらの話になってしまった。
私は鬼殺隊のみんなが無惨さんに辿り着く前に死んでしまうかもしれない。
そもそもこれは病なのか。
どんな病なのかも分からない。
「ゴホッ…」
最近は呼吸がどんどん苦しくなっていっていた。
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丸(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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