佰肆 ページ4
「無惨さん、おかえりなさい!」
「…ただいま。」
無惨さんの目は私の手元にある花束に釘付けになっていた。
「…それは誰から貰った。」
「これは街の方から……話を聞いてくれたお礼、らしいです。」
「話……?なんだ。」
「…特に何も話は聞いてないです。」
「怪しいな。」
無惨さんは赤い瞳を細め、軽く私の顎を掴む。
「Aは私という存在がいながら他の男と話をしていたのか。」
「…」
「沈黙は肯定と取るぞ。A。」
何も言えない。もしかしたら松山さんは私の家族かもしれないなんて。鬼のお父さんを殺した貴方には言えるわけが無い。
「悪い奴だ。」
無惨さんは冷たい瞳のまま、私の唇を奪った。
猗窩座さんや鳴女さんの前で。
何度も何度も。
気付いたら私の手元から花束が消えていて、布団の上で寝転がり、無惨さんの腕の中だった。
***
花束が何処に行ったのかは分からない。だけど、一つ言える事は無惨さんに奪われたという事。
「…無惨さん」
「…なんだ。」
「その男性の事は恋愛感情の好きなんてこれっぽちも思っていません。」
「もうその男の話をするな。」
無惨さんは私の首元に顔を寄せる。
何となくそれを見ていると顔が熱くなった。いつもの事なのに凄いドキドキしている自分がいた。
「顔が赤いぞ。」
「っ…」
「ふっ、今更照れているのか?」
無惨さんは少し笑いながら、言った。
「無惨さんが近いなぁ…って。」
髪の毛をサラサラと撫でた後、無惨さんの頭を優しく抱き締めれば、
「……はぁ。私の負けだ。」
「無惨さんの負け…?何か勝負でもしてましたか?」
ん?と無惨さんの顔を覗き込むように見れば、ギュッと抱き締められた。
怒りも憎しみも、この抱きしめている方にあるのに、
恋とは恐ろしいもので。
怒りも憎しみも、甘い毒に変わる。
甘い毒。
でも毒なのだ。
この御方は毒だ。毒なんだ。
あぁ、私は完全に毒されてる。
「A、どうした。」
毒と知らずに愛していたかった。
そうしたら、何も考えずに愛することができたのに。
「……何でもないです。」
でも、私はもう毒され続けるしか道はない。
……解毒薬などないのだから。
「大好きです。無惨さん。」
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丸(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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