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佰参拾 ページ30

鬼舞辻side



「A」

優しく呼べば嬉しそうに私の手を抱きしめて、笑う。


「無惨さん」



誰よりも愛おしい。


彼女の瞳には私しか映っていない。





「私は少し離れるが……」


Aは手を離してくれる様子はない。

「離しておくれ?」
「…」


Aはギュッと私の腕も抱きしめる。


「あぁ、A。私を困らせたいようだな?」


そっと彼女に覆い被されば、Aは腕を離して、私の腹辺りに腕を回して、抱きついてくる。
相当堕姫達の死が効いたようだ。




「行かないで……ください」
「すぐ戻ってくるから」


優しく頬に口付けるも、Aが離してくれる気配はない。



「どうしても行かないとダメですか…?無惨さん行かないで…もう失うのは嫌です…」
「……A」


なんて愛らしいのだろうか。




「…」


しかし、童磨、アイツをどうにかしないと気が済まないのも事実。
言うタイミングというのも大切なのに。

Aが弱っている時に伝えるのはさすがに許せない。
結果としてAが私にくっついてきてもだ。




「すぐに終わらせる」


ギュッと抱きしめるが、どうも離してくれる気配はない。



「A、いい子だから」



頭を撫でてみる。
嬉しそうな顔をするが離してくれる様子はない。



「A、私はAに弱いというのに……こんな事をされてしまったら余計に弱ってしまう」
「……」




「……分かった、A、働く事を許可してもいい」
「え…?」

Aが驚く。

「離してくれるのなら。許そう」
「…………」


Aは散々悩んだ後、ゆっくり私の腕を離した。



何となく職に負けて腹がたつが、まぁいい。



「すぐに戻ってくる。心配はしなくていい」



Aの額に口付けて、すぐに童磨の元へ向かう。





***


ベンッ


「無惨様〜!まさか、無惨様の方から来てくださるなんて〜!」



童磨は信者の者たちをすぐに部屋から追い出した。




「どうされましたか?無惨様」
「分かっているだろう」


童磨は一瞬真顔になった後、すぐに笑う。




「Aちゃんから聞いたんですか〜?」





ボトッ




「わ〜無惨様、急に斬らないでくださいよ〜」



「ほう……?お前もAに好意があるようだな」


目を細めて、ヤツを見れば楽しそうに笑う。


「俺はAちゃんの指でも足でもいいので喰いたいです」

やはりコイツは嫌いだ。

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(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月4日 0時

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