佰弐拾玖 ページ29
「…堕姫ちゃんと妓夫太郎さんともう会えないのが悲しくて……」
思い出すとやっぱり心が痛み、ギュッと無惨さんに抱きつく。
しかし私の言葉を聞いた瞬間、私の頭を撫でる手がピタリと止まってしまった。
「誰に教えてもらった」
その声はとても冷たく、私は少し無惨さんから離れようとするが、引き寄せられ抱きしめられる。
「誰に言われた」
本能がなんとなく名前を出してはいけないと言っている。
心臓が嫌な音をたてる。
「A、お前を悲しませ、泣かせた者は誰だ」
赤い瞳が私を捉えて離さない。
無惨さんの指先が私の目元にあてられ、撫でられる。
「誰だ」
「…い、言ったらその方はどうなりますか…？」
さっきの童磨さんの事もあり、無惨さんがいっそう怖く見えた。
今までとても優しい無惨さんだったけど、今は違う。
私でもわかる。
完全に怒っている。
堕姫ちゃんと妓夫太郎さんの死を知ることはいけないようだった。
「Aが気にすることでは無い」
「でも…」
言いかける途中で、唇に無惨さんの指が触れる。
「病人をさらに辛くさせて…万死に値する」
「…！」
万死…？
無惨さんは私を布団に寝かせ、ハンカチで優しく汗を拭いてくれる。
「A」
「…その、万死には値しなくても…」
「なぜだ、Aを苦しめる者は誰であろうと許すわけにはいかない」
「無惨さん…私は」
「私が許したくないのだ」
グッと顔を近づけられて、驚いてしまう。
「こんなにも泣いて、熱も下がってきたというのに、また上がってきている」
急に眉を下げ優しく私を見つめる。
困ってしまう。そんな風に優しくされたら、嬉しくなってしまう。
今は童磨さんを助ける方法を考えなければならないというのに。
「私は大丈夫です、私、無惨さんが居れば…それだけで嬉しいです」
「…」
無惨さんは目を丸くして私を見たあと、
額に手を当てて、ため息をついた。
「あぁ、A…私は今、怒っているというのに」
「無惨さんが優しく私を見つめてくれるので…嬉しくなっちゃって…気持ち悪かったですか…？」
「そんなわけないだろう」
額に優しく口付けをされる。
そして優しく頭を撫でられ、無惨さんも横になり、私を抱きしめる。
「…はぁ、言った者は処罰はしない。誰だ」
「……童磨さんです」
「…そうか、アイツか」
一瞬無惨さんの目が変わったが、私が見つめていると、優しく微笑んだ。
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丸(プロフ) - へなさん» へな様…！今更だなんて！そんなそんな！素敵すぎるというお優しいお言葉…！拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました！ (3月25日 1時) (
レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました！ (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…！！そう言っていただけて光栄です〜！！(；▽；)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です！！私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜！！ありがとうございます！！ (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです！泣きました笑！なんでこんな良い作品が思いつくんですか！！！この作品に出会えてよかったです！ (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様！そんなに褒めてくださるなんて…！ありがとうございます〜！！m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました！！素敵なコメントありがとうございました！！ (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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