佰弐拾弐 ページ22
鬼舞辻side
ベンッ
無限城に戻ってきた。
「A、泣いていましたか?」
楽しそうに目を細める童磨。
「…やり過ぎでは…」
少し切なそうに目を細める黒死牟。
「それはもう、泣いていた」
私も目を細めた。口元はほんの少しだけ上がっている気がする。
「俺の言った通りだろう、黒死牟殿。最近いつも以上にAが生き生きしていて、すぐに分かってしまったよ!」
「……まさか家族と会っていたとは」
童磨に言われた時はにわかに信じ難い話だったが、夜に覗いてみれば、確かにAに似ているところがあった。
そして瞬時に悟った。
【消さなければ】
消さなければAが人間の元へ行ってしまう。
やっと邪魔な父親を排除したのだ。母親と兄などもってのほかだ。
「いや〜、Aちゃんのお母さん本当にAちゃんが好きだったようだねー、死ぬ直前もAって呟いてて」
「もうその話はいい」
Aが急に私のせいだと言ってきた時は驚いたが、悲しい顔をすればすぐに、私がやったのではないかもしれないという考えに変わっていて、やはりAは素直で愛おしい。
Aには私しかいないのだ。
「そろそろだろう」
「…?」
童磨達が不思議そうな顔をする。
私はまた、Aの元に向かった。
***
「可哀想に」
濡れて、冷えてしまっている。
「可哀想に」
彼女を抱き上げて、傘を閉じる。
「可哀想に」
眠っている彼女の額に口付ける。
「あぁ、愛おしい。私のA」
雨は止んだ。
Aと私を邪魔する者は誰であろうと容赦はしない。
彼女を勢いよく抱き締めて、全てを取り込んでしまいたい。
もういっそう喰ってしまいたい。
そうしたら、Aは一生取られることは無い。
ずっと永遠に私のものだ。
あぁ、でも、やめておこう。
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丸(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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