検索窓
今日:30 hit、昨日:46 hit、合計:223,864 hit

佰弐拾漆 ページ27

童磨side


「悲しいね…童磨さん。辛いよね…」


俺に押さえつけられているのにも関わらず、俺のことを思って、俺の手を握って涙を流す。


俺は全部演技なのに。
俺が言ったせいでAの母と兄は殺されたのに。
馬鹿らしい。

彼女は馬鹿だ。
愚かだ。本当に…。


「最近私も嫌な事ばかり…私の母と兄が死んじゃってね……それで風邪を引いて…。今度は堕姫ちゃんと妓夫太郎さん…?酷すぎるよ…」


だから飽きない。
だから彼女は可愛い。


涙を流す姿は本当にゾクゾクする。
俺の為に泣いてる。
俺が泣かした。
彼女の涙は俺のもので。


「うん、俺もとても悲しかった」

俺も涙を流して、握り返せば、彼女は小さく頷いて、涙をまた流す。

「Aちゃんが泣いてくれて…俺も心が少し軽くなったよ」


そう。心が舞い上がってしまった。
彼女をもっと泣かせたい。
愚かで可哀想なA。

俺に隠し事なんて無理だよ。


君が鬼殺隊と関わってる事も、鬼殺隊と鬼の俺達の間で迷っている事も。
黒死牟殿やあの方よりも、分かっている。


「Aちゃんは優しい子だね」

そう、優しくて、甘い。だから愚かで可哀想なのだ。
そして、愛おしい。


俺は黒死牟殿の言う好き、愛おしいとは少しいや、かなり違うと思うけど、俺はAが好きで、愛おしい。



本当に……喰ってしまいたい。
その肌に歯を立てて、味を噛み締めながら。
ただ吸収するのではなく。もっとじっくりと。彼女を味わいたい。


あぁ、考えると笑顔がとまらない。
俺の笑顔を見て、Aも目を細める。



「童磨さん、使ってください…?」


ハンカチを手渡される。

「いや、俺はいいから…」

俺はゆっくり彼女の目元にハンカチをあてる。


彼女の長くなった髪が畳に広がっている。
こうして見てみると、以前よりもAはさらに綺麗になった。


無惨様が影響しているのだろうか。
妙に色っぽい。熱のせいだろうか。

「…童磨さん、そろそろいいですか?」
「あ、ごめんね〜!すぐに退くね!」

サッと立ち上がり、彼女を起き上がらせる。


「髪、ボサボサになっちゃったね?」
「そろそろ切った方がいいですかね……?」
「うーん…そうだなぁ…」


そっと髪をすくい上げて、笑う。


「Aちゃん綺麗だから、どちらでも。あー、でも俺は今のAちゃんが好き」
「えっ!?あ、ありがとうございます…!」

嬉しそうに髪を見るAを見て、改めて喰ってしまいたいと思う。

佰弐拾捌→←佰弐拾陸



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (519 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
805人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。