佰弐拾漆 ページ27
童磨side
「悲しいね…童磨さん。辛いよね…」
俺に押さえつけられているのにも関わらず、俺のことを思って、俺の手を握って涙を流す。
俺は全部演技なのに。
俺が言ったせいでAの母と兄は殺されたのに。
馬鹿らしい。
彼女は馬鹿だ。
愚かだ。本当に…。
「最近私も嫌な事ばかり…私の母と兄が死んじゃってね……それで風邪を引いて…。今度は堕姫ちゃんと妓夫太郎さん…?酷すぎるよ…」
だから飽きない。
だから彼女は可愛い。
涙を流す姿は本当にゾクゾクする。
俺の為に泣いてる。
俺が泣かした。
彼女の涙は俺のもので。
「うん、俺もとても悲しかった」
俺も涙を流して、握り返せば、彼女は小さく頷いて、涙をまた流す。
「Aちゃんが泣いてくれて…俺も心が少し軽くなったよ」
そう。心が舞い上がってしまった。
彼女をもっと泣かせたい。
愚かで可哀想なA。
俺に隠し事なんて無理だよ。
君が鬼殺隊と関わってる事も、鬼殺隊と鬼の俺達の間で迷っている事も。
黒死牟殿やあの方よりも、分かっている。
「Aちゃんは優しい子だね」
そう、優しくて、甘い。だから愚かで可哀想なのだ。
そして、愛おしい。
俺は黒死牟殿の言う好き、愛おしいとは少しいや、かなり違うと思うけど、俺はAが好きで、愛おしい。
本当に……喰ってしまいたい。
その肌に歯を立てて、味を噛み締めながら。
ただ吸収するのではなく。もっとじっくりと。彼女を味わいたい。
あぁ、考えると笑顔がとまらない。
俺の笑顔を見て、Aも目を細める。
「童磨さん、使ってください…?」
ハンカチを手渡される。
「いや、俺はいいから…」
俺はゆっくり彼女の目元にハンカチをあてる。
彼女の長くなった髪が畳に広がっている。
こうして見てみると、以前よりもAはさらに綺麗になった。
無惨様が影響しているのだろうか。
妙に色っぽい。熱のせいだろうか。
「…童磨さん、そろそろいいですか?」
「あ、ごめんね〜!すぐに退くね!」
サッと立ち上がり、彼女を起き上がらせる。
「髪、ボサボサになっちゃったね?」
「そろそろ切った方がいいですかね……?」
「うーん…そうだなぁ…」
そっと髪をすくい上げて、笑う。
「Aちゃん綺麗だから、どちらでも。あー、でも俺は今のAちゃんが好き」
「えっ!?あ、ありがとうございます…!」
嬉しそうに髪を見るAを見て、改めて喰ってしまいたいと思う。
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丸(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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