佰弐拾伍 ページ25
「……」
ゆっくり目を開けると、周りは静かだった。
隣を見ても無惨さんは居ない。
「今は朝__夜?」
ゆっくり立ち上がり、辺りを見渡す。
「えっと……わぁ!!?」
襖を開けてフラフラしていると足を踏み外し、真っ逆さまになった。
「あっ……」
ギュッ
「Aちゃん、何してるの〜?」
「あ、童磨さん」
しっかりと童磨さんに抱き抱えらてる。
「Aちゃん、布団から出ちゃダメだよ。まだ熱下がってないんだから」
ニコニコ笑いながら、童磨さんは私を布団まで運ぶ。
「そういえばこの頃堕姫ちゃん達に会ってないなぁ…会いたいなぁ…」
「ん?あ、堕姫と妓夫太郎の事?」
童磨さんは目を細める。
「うん、元気かな」
「Aちゃん」
童磨さんは私を布団に下ろし、グッと顔を近付けた。
「童磨…さん?」
「堕姫達は鬼狩りにやられたって言ったらどうする?」
えっ…?
熱のせいだろうか。頭が動かない。
「ねぇ__Aちゃん。どう思う?泣いちゃう?」
「……嘘だよ…ね…?」
童磨さんはなぜか嬉しそうにしている。
じわりと涙が溢れ出てくる。
「最近、俺ね、気づいちゃったんだ〜」
童磨さんは扇をパタパタ揺らし始めた。
綺麗な氷の人形が出来上がる。
氷の人形は私の額を冷やしてくれる。
「なんかねAが泣いてるの見ると…こう…ふふっ。なんて言うのかなぁ」
楽しそうに童磨さんは私を見つめた。
「泣いてるAちゃんが可愛くて仕方がないんだよね」
「え……?」
私は本能的にジリッと少し後ろにいく。
「ほら、怖くなって逃げようとする」
虹色の瞳が私を捕らえて離さない。
「黒死牟殿も、俺と同じような感じなのかなって思ってたけど、根本にあるものが違ってたみたいでねー?」
「あ、う……」
「俺、無惨様に目をつけられてるからあまりAちゃんに近付けなかったけどさ、黒死牟殿があんだけ自由にしていたらさぁ……ね?分かるでしょ?」
童磨さんがトンっと逃げようとする私を床に優しく押さえつける。
「Aちゃん、俺は黒死牟殿と違って加減もできるし、優しいよね?だから少しぐらい、お願いを聞いてくれないかい?」
「…お願い?」
「そう。Aちゃん、泣いてよ。堕姫達は死んだよ。殺されたよ。もう会えないよ?ねぇ__
__可愛い顔で
__泣いてみせてよ」
大きく見開かれた瞳は嬉しそうだった。
童磨さんは黒死牟さんと何もかも違う。
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丸(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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