◯何時かの夜に ページ47
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何時かの夜に、彼は強くなった。
でも、貴方はいなかった。
空に光る銀細工。
二度と見せないその笑顔。
ひらり。くらり。
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今宵は月よりも星が輝いて見えます。
◯虎杖悠仁
「、、、俺もそろそろ行くから。待っててよ。」
貴方が好きだった藤の花を見てそう呟く。
ひらひらと風も吹いていないのに散りゆくの花弁が
"早く来てよ"と訴えかけてるようで。銀細工に照らされて
美しくも儚く散る紅藤色の花弁。
底からこみあげてくる想いはもう伝えられなくなった。
一寸先は闇。いや、貴方がいないとどれだけ輝いた
所であろうと、闇。何時かの夜に、君は嘆いた。
獅子色の瞳を潤ませて。
◯伏黒恵
「、、、ごめん。」
貴方が残していった最後の忘れ形見。
銀色の桜の髪留め。彼はそれを見つめる。
見つめながら思うのです。Aがいてくれたから、
Aが生きていたから。幸せだったんだと。
忘れ形見を見つめると、苦しくなって
息の吸い方さえも忘れてしまう。
愛は哀に変換されたけれど、貴方への思いは変わらない。
ずっと愛しています。そう呟き銀色細工が美しく咲き誇る
青藍色の空に儚く舞う。最後に何を思ったのだろう。
真相は月白色の其処で聞く。
◯五条悟
「、、、生きる、、ねぇ。」
悲しそうに独り呟く彼。手に握られているのは何でしょう。
梅の髪飾り。貴方が好きだった、いえ忘れて行った物。
それを握って澄み切った群青色の空に呟く。
「なんで好きだったの?」答えは帰ってこない。
その代りに季節外れのキンモクセイの匂いが彼を包んだ。
梅の花が言っていたのは「忠実」
キンモクセイが運んできたのは「真実」
忠実に真実を受け入れて。貴方が残した想い。
伝わってしまったら、彼は金細工になるでしょう。
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作者名:385 | 作成日時:2021年2月19日 18時