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騒がしい夜が明け、朝日が昇ると同時に私の仕事は終わる。
ここは中王区のとある路地裏にある有名なクラブで、金を持っている女の子や選ばれた少数の偉い位の男の人達がお酒とお喋りをたしなむ場所だ。
ロッカーの鍵を閉め、誰にもらったか忘れた肌触りだけがいいブランドもののハンドバッグを持つ。
お気に入りの真っ赤なハイヒールを鳴らしながら廊下を歩き、カウンターで一人険しい顔で札束とにらめっこしている人物にいつも通り声をかけた。
貴「お疲れ様!」
「おぉ、お疲れ〜!」
私の顔を見るなり、ぱっと明るい子犬のような笑顔を見せたこいつは、数年前私と一緒にこの店で働き始めた【雅(みやび)】だ。
最初は私と同じヘルプとして接客をしていたが、細かい仕事の腕が周りから高い評価を受け今は店長まで上り詰めた猛者だ。
…ちなみに本人曰く、全て計算の内だったというから恐ろしい。頭の回転が速く、知識も豊富。
…まぁそんなところも全部含めて、私は雅の元で働く事が気に入っている。
雅「またこの調子で今月もNo.1いただきだね!」
貴「おいおい…ちゃかすなよ。今月は早苗や佳奈も相当頑張ってるし、油断してると私も危ないよ…」
そう言いながら、なんとなくお気に入りのピンクゴールドのネックレスをいじる。
雅「またまたぁ〜先月も同じような事言っといて、結局ぶっちぎりの一位だったじゃないか!」
ニヤニヤしながら札束で扇を作り、首元を仰ぐ雅を見て私も無邪気に笑い返す。
貴「まぁね!」
雅「さっすが中王区No.1ホステス様!!それでこそここのエース!!」
貴「もぅ…褒めても何も出ないぞ!…じゃあまた明日!おやすみ〜」
雅「おやすみ〜…ちゃんとお肌休めてね!」
「はーい!」
________
店を出ると、いつものコンビニでアイスコーヒーを買った。
朝の少し冷たい空気が頬を撫でる。
帰り道を歩きながら、ふと思う。
…今この場所にいる仲間は嫌いじゃない。
普通の人より何倍もお金はあるし、彼氏はいないけど立派な高級マンションに住めている。
不自由はない。
でも…
壁の外。
その先には、いったいどんな景色が待っているんだろう…。
お客さんの女の子達が言ってた
【ホストクラブ】って場所にいる男の子達は、いったいどんな接客をしてくれるんだろう…。
もしも行くことが出来たら。
自由に壁の外へ行くことが出来たら…
何か変わるんだろうか…。
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ひんやりだんご - お餅さん» うぉおおおお!!ありがとうございます!泣いて喜びます! (2019年9月17日 7時) (レス) id: 2d4f9d78c5 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - うぉおおおお!!読んでいて凄いわくわくします!更新応援しています!! (2019年9月16日 19時) (レス) id: fb4e2fef35 (このIDを非表示/違反報告)
ひんやりだんご - 犬田さん» ありがとうございます!誤字脱字多々あるかと思いますが…応援してくれるとありがたいです!! (2019年9月15日 20時) (レス) id: 2d4f9d78c5 (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - みんなとの絡み方がすごく好きです…!主人公ちゃんの問題を解決する姿がかっこいいです!!!シブヤではどうなるのか凄く楽しみです、更新応援してますね!! (2019年9月15日 10時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひんやりだんご | 作成日時:2019年9月1日 8時