46話 ページ46
「うぅっ、わぁぁああぁぁぁあぁぁ」
兄の肩に顔を埋めて大きな声を出した。
羽織に吸収されても響くくらい大きな声。
「なんっ…なんで、」
本当ならここにいたはずなのに。
「冨岡そっくりだな！！」
「全く…世話が焼けますね」
いる事が当然だと思ってたのに、
「…風邪引くから、早く戻って」
「お前ほんと話し辛ぇわ」
一緒にいたのに、
「良くやってくれた」
「全く…、おお馬鹿者め」
「凄いわAちゃん！」
さっきまで隣にいたのに。
「あいつがぁっ…、あいつが死んだら…ッ」
鬼舞辻無惨、ずっと恨み続けた。
人生の半分以上、ずっとずっと、
「誰を、誰を憎めばいいの…」
あいつさえいなければ姉さんは死ななかった。
あいつが居たから鱗滝さんに出会えた、錆兎と真菰に出会えた。
あいつを倒すために仲間ができた。
恨むべき者が分からない、何を原動力に生きていけばいいの、これから何をしていけばいいの、
「う“ーっ…う”ーーッ」
吐き出す言葉の代わりに涙がいっぱい出た。
お兄ちゃんの匂いがするから縋るように沢山泣いた。
「…………」
この人も泣きたいはずなのに。
それなのに片腕で私を抱きしめてぎこちなく頭を撫でるの。
「A、」
私が生き残って、何人犠牲になった。
一体どれだけ迷惑をかけたか、
何一つ恩返しもできないまま。
「俺は…、誰も生き返らすことはできない。」
「お前に、こんなに眩しい朝陽を見せてやれない。」
「もう二度と、右腕で抱きしめられない。撫でてやることもできない。」
ポツポツと、雨が降るように言葉を口にした。
「でも、これからはそばに居る。」
力強さと、震えを感じた。
「天丼を食べに行こう、夜が来たら眠って…、鱗滝さんのところへ行って、帰りには市場へ着物を買いに行こう」
鬼なんて、もういないんだから。
もう夜に警備に行かなくて良い、少し背伸びした服を着て良い、
「それで…、これからは、」
空は綺麗なのかな、
太陽はまん丸かな、
鳥は飛んでるかな、
お兄ちゃんはどんな表情してるのかな、
「俺とAで、二人で生きていこう」
見たいなぁ…、
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (
レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、！ (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした､､､出会えて良かったです､､､ (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だむい
| 作成日時：2020年7月26日 20時
