5話 ページ5
「食え、もっと食え。」
「2週間ぶりの食事にしてはちょっと少ないと思うわAちゃん！」
たまたま任務帰りだった甘露寺さんと合流して二人に挟まれて天丼(小)をちまちまと食べていた。
「水飲んでたし…」
「俺でも3日で腹は減る、なんなのかねお前は。育ち盛りだろうに。」
「え…パパ？」
「黙れ。」
少し冷めてきたタレのかかったご飯をパクッと口にした。
ゆっくり食べないとすぐにお腹空いちゃうから、可能な限り焦らして食べている。
「腹は減らないのか」
「空腹だから連れてきてもらったんですけど…」
「いちいち鼻につくねお前は、余生を謳歌しろ」
何この綺麗な”殺すぞ。“
余生を謳歌しろって表現美しすぎて怖いんだけど。
「Aちゃん私のお蕎麦食べる？2週間も何も食べてないんでしょ？」
「初めてのことじゃないので、別に…」
要らないです、とお米を口にした。
まだ少し残ってるし大丈夫。
「いつも倒れるまで戦うのか」
「今回はたまたま」
「俺へ敬語を使わない辺り頭にくるんだが。」
「ごめんなさい」
あんな土の上に転がっていたら鬼の良い餌食だと言われたが、どんなに空腹でも鬼が側にきたら流石に自己防衛するけど。
「最終戦別だって食べ物ないし…」
「大変だったわよねぇ…私は1週間だったけど、Aちゃんは2週間だったの？」
「いえ、選別終わってぼーっとしてたら1週間経ってて」
「時透も驚愕のぼーっと具合だな。」
私の代の選別は雪の日だった。
寒くて指先から感覚が無くなっていった。
破れてしまって羽織るものも無くて藤棚の下で膝を抱えていた。
「藤の花を食べて過ごしてたんですけど、毒に当たって倒れて運ばれたんですよ」
「馬鹿なのか？」
「多分…」
案内役の子が見つけてくれなかったら危なかった本当。
でも、あそこで死んでいたら1週間も寂しさに悶えなかったかもしれない。
「大変だったのね…、でも今は藤の花じゃなくてお米やお蕎麦を食べましょう！」
私のどんぶりに海老天とさつまいもの天ぷらを乗せてくれた甘露寺さん、
「…ありがとうございます」
渡された少しだけ冷めた天ぷらをじっと見て、お礼を言った。
「好きなだけ食べろ」
「はい、いただきます」
人との食事は、いつぶりだろうか。
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (
レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、！ (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした､､､出会えて良かったです､､､ (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だむい
| 作成日時：2020年7月26日 20時
