33話 ページ33
「折角見逃してもらえそうだったのにバカだよね！！」
「…痛い、」
「消毒してるからねぇ」
乱闘中、隊士たちがゾロゾロと目を覚ましだしてなんとか止められた今はお風呂上がり、
別室で善逸に手当てをしてもらっている。
「風柱怖いからみんな失神してるフリしてたけど…流石にまずいって思ったんだろうね」
「そう」
「目元腫れてるけど大丈夫？痛くない？」
「腫れてたら痛いよ」
そりゃそうだ！とガーゼを当ててくれた。
シワだらけだし、テープもみあげに当たってるし…
「…手当て下手くそだね」
「ごめんなさいねぇ！！」
「でもありがとう」
慣れてないのに、多分自分の手当てもまともにしない人なのに、他人の傷拭ってくれて。
「いいえ」
フニャッと笑う善逸の顔は嫌いじゃない、悪い気はしない。
「Aちゃん、伊之助より先だったのにどこで時間食ってたの？恋柱？」
伊之助柔軟性すげーもんなぁ、と。
「…水柱邸へ行っていた」
「あぁ、お兄さんの。」
それからちょっと、沈黙だった。
作業の音と、厠へ向かう誰かの足音だけ聞こえた。
「…何か、話せた？」
「普通に、帰れって言われただけ。」
お茶くらい出して欲しいよね、と冗談を言った。
「………」
「私には会いたくないって」
一発ぶん殴ってやればよかったよねって。
「なんでこうなっちゃったんだろ」
もう少し早く最終選別に行っていたら良かったのかな、
兄を待つばかりじゃなくて、訪ねるべきだったかな、
拙い言葉でも、大好きって伝えれば良かったかな、
「っ…Aちゃん、」
驚いたように顔を上げた善逸は私の涙を見て目を見開いた。
「あ、ごめん、泣くつもりなかった」
「いや…、音がしなかったから驚いて」
嗚咽音とか、瞬きの回数だったり、息遣いとか。
あまりに淡々と涙を流したみたい。
「ごめん。俺さ、Aちゃんが苦しんでるのずっと前から気付いてたんだ、でもごめん…何もしてあげられない、ごめん」
二人の間を中途半端に取り繕えないって、
助言もしてやれないって、
「俺Aちゃんの友達なのに、ごめんね」
「……」
善逸の方が目をギュッと瞑ったまま涙して、力強く私を抱きしめた。
「こんな音させてるのに…、ごめん」
なんで善逸が謝るの、
少し背の高い彼がギュッと私の隊服を掴んで、泣いてた。
「平気」
_
_
(平気なわけない、)
(平気なら、こんな音するわけないんだよ…)
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (
レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、！ (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした､､､出会えて良かったです､､､ (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だむい
| 作成日時：2020年7月26日 20時
