44話 ページ44
やっとの事で私たちは生まれ変わることができた。
我妻A、21歳。
平凡に生きていたが21歳の誕生日を迎えて、全ての記憶を思い出した。
多分、自分が死んだ年。
「約100年地獄にいたわけよ」
頑張った、私頑張った。
「姉ちゃん!俺姉ちゃんと一緒に登校したいから風紀委員入った!」
「そっか。ねぇ善逸さぁ…差し支え無ければ抱き締めて良い?」
「どうしたの急に?逆に良いの?ご褒美??」
愛し続けた弟は、刀では無くカバン一つ持って出歩いて、
「おい姉貴、忘れ物」
「え、行ってきますのチュー?」
「ちっげぇよ定期!!」
「あぁ。」
生き続けて欲しいと想い続けた弟は、ただの“人生”を歩んで、
「獪岳も遅刻しないようにねー、じいちゃん行ってきまーす!」
「気をつけるんじゃよ」
なんの恩返しも出来なかった祖父と慕う師範には、溢れるくらいの幸せを。
ただ平穏に、日の光を浴びて、鬼に怯えないで夜道をお散歩して。
「まさか弟がいる高校に赴任できるなんて」
「本当俺らツイてるよね!姉ちゃん音楽だっけ?」
「そう、授業数少ないし暇なときは他の授業見学しても良いって」
重たいけれど、刀なんかよりずっと軽い、責任で押し潰されそうな隊服じゃなくてただのスーツ、機動力を重視した草履じゃなくて履きなれないパンプスで。
「ところで善逸、大きくなったね」
「高校生って成長期だしね」
これからもっと背も伸びるよ、と笑う善逸を見て、唇を噛み締めた。
「そうだよね、お腹いっぱいご飯食べようね、夜はしっかり眠って…それで、それで……ステキな大人になる姿を…」
見たくて堪らなかった、見届けたかった、何度願っても届かなかった、弟の成長を、
立派な大人になる姿を、今度こそ、この目で。
「えっ、どうしたの姉ちゃん、泣いてる!?なんで!?」
「赴任初日で緊張してるだけぇぇ…!」
「姉ちゃんが泣くと俺も泣きそうになるからやめてよぉぉ」
ギュッと私に抱きついてくる、私よりほんの少し小さい弟を抱きしめ返した。
「ありがとねぇ善逸、ありがとう」
_
私をまた、姉ちゃんにしてくれてありがとう。
_
「俺もさぁ、たまに泣きたくなる夢見るんだよぉ…、獪岳はいなくなるし、じいちゃんが腹切って…姉ちゃんまで俺を置いて行っちゃう夢…!」
「そんなの、ただの夢に決まってるでしょ」
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○○(プロフ) - とっっても感動しました(;_;)めっちゃ泣きました。ハッピーエンドでほんとに良かったですぅぅぅぅぅぅ՞߹ - ߹՞こんな神作品をありがとうございます! (2月7日 15時) (レス) @page50 id: 440a20ffd9 (このIDを非表示/違反報告)
バター - 死んじゃったからBADENDだと思ったけど大切な人守って転生させてHappyENDなの好き🥹💗💗 (11月4日 17時) (レス) @page50 id: 71e3afebe3 (このIDを非表示/違反報告)
錫也(プロフ) - 死んだ=バッドエンドとか悲しい展開のお話じゃなくて、家族愛で友人愛で大切なものを守ろうとして戦う姿かっこよすぎて泣きながら小説読んでましたぁ……まだ止まりそうにもないですありがとうございます…… (8月25日 9時) (レス) @page50 id: 046abef528 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん - 大体無惨戦で死んじゃう子はバッドエンドになるけどちゃんとハッピーエンドだったし泣きながらギャグに大爆笑するというカオスなことになりました!( 素敵な作品をありがとうございました!! (7月18日 22時) (レス) @page50 id: 6563dca116 (このIDを非表示/違反報告)
茶々葉(プロフ) - 素敵すぎるぅぅ……この作品と出会えてよかったです (2022年11月27日 12時) (レス) @page50 id: 9bb2c58fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年5月16日 0時