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41話 ページ41

頸を斬ることは正直造作も無い事だった。




私は、手間では無かった。








「………」



頸を斬った直後、上限兄が最期の土産に血鎌をお見舞いし、辺り一面吹き飛んだ。






諸悪の根源の頸を斬った私は無事では済まないはずだった、






はずだったのに。









「兄様、起きて…目を開けて、お願い返事して…」






私を庇った大きくて、厚くて、温かかった人。



揺さぶった拍子に、薄ら聞こえる心音が止まってしまわないだろうか、そう恐る恐る彼を揺すった。









「……生き…てっか」



口だけ小さく動かして、兄様はそう言った。









「生き、てる」



「そりゃあ、良い事だ…」




満足そうに微笑む兄様の額に布を当てる。







いくら体格に恵まれた兄だってこの出血量で平気な訳ない、それからあの猛毒が回っている、すぐに蝶屋敷まで運ばなきゃ…








「すぐしのぶさんのところに連れて行くから、頑張って兄様、お願い…」






「A、」





兄の頭側に回ってズルズルと引っ張った。




誰がどう見ても間に合わない事は分かる、それでもこうするしか無かった。









しのぶさんみたいにその場で薬を調合できないし、悲鳴嶼さんや兄様みたいに体が大きくないから担げない、甘露寺さんみたいに力持ちじゃないから引っ張るのも時間がかかる。








「大丈夫、大丈夫だからね」


「お前が運べるわけねーだろ…」



俺の後ろ引っ付いて、泣いてばっかのお前が。







「A、いいかぁ?兄様はこれから任務だ!」


「悪い鬼をバッサバッサ倒してくるからよ!」


「だから、良い子で待ってろよ!」









「…昔の、話じゃん…」


「ははっ…そーだなぁ…」




血が止まらない兄様の額をギュッと抑える。








「派手にデカくなったじゃねーか…、」


「………」





右手が徐に持ち上がって、私の頭を撫でた。




撫でたというより、力が抜けてそのまま頭の上に手を置いている感じ。








「…A、よく聞けよ…」

「聞きたくない!!」






兄の顔を見て、何を言うかはすぐに分かった。




分かるよ、








私たち、兄妹だもん。








「聞け。」








それを言われたら、兄が離れて行く気がした。




記憶の中の兄が、遠ざかる気がした。









「A、」





_








お前が、





俺がこの世で一番信用してるお前が、









_









「音柱になれ。」




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(プロフ) - 感動しました、素敵な作品をありがとうございます!!!😭😭😭 (8月8日 22時) (レス) @page49 id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 泣く!!!! (2022年3月28日 14時) (レス) id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - はあぁぁ、むい君のやっぱり可愛いってやつで私は成仏しました…… (2022年2月15日 21時) (レス) @page33 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - 足抜きではなく、足抜けではないですか?間違ってたらごめんなさい! (2021年12月3日 20時) (レス) @page19 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
毒猫 - うぅ・・・感動しました!また違う作品で! (2021年9月11日 22時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だむい | 作成日時:2020年4月7日 22時

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