10話 ページ10
「すみません…ご馳走さまでした」
「良いのよっ!とっても楽しかったわ!」
私が誘ったしせめて自分の分はと思ったが、甘露寺さんが請けもってくださった。
「私も、甘露寺さんといると楽しいです」
お姉さんみたい、と笑えば、キューンッッという効果音が聞こえてきそうな表情をする甘露寺さん。
「Aちゃんッッ」
私はまだ休養期間なので、蝶屋敷へ向かっていると向こうから影が見えた。
「あ、見て無一郎くんよ!」
「え?あ、本当だ…」
「無一郎くーん!」
キャッキャと手を振る甘露寺さんの横で、私は小さく頭を下げた。
「どうしたの?さっきもすれ違ったわよね!」
「…僕の鎹鴉が怪我をして」
血が固まったまま羽根を撫でている。
そっか、鎹鴉が怪我をしたんだ。
それより、ずっとこの辺をうろうろしてたのかな…、
「よーし、私が巻いてあげるわ!」
「いや、いいです」
「行きましょう!」
こういうのも先輩の務め、と甘露寺さんはルンルンと私と無一郎君の手を引いて蝶屋敷へ向かった。
諦めたように腕を引かれる無一郎君を見て、私も苦笑いしながら治療室へ連れられた。
「ダメだわ全然分からない!アオイちゃーん!」
包帯の場所もガーゼの場所も分からなかったわ、なんて甘露寺さんらしいけれど、一人でアオイさんを探しに行かないでよ…。
「休養期間は終わったの?」
「え?…い、いえ、お昼だけ食べに…」
私たちは二人分くらい空けてベッドに腰掛けてお互いの顔は見ずに会話していた。
「甘露寺さんの継子?」
「い、いえ…」
違いますよ。
貴方の同期ですよ。
じゃあ何?と首を傾げる時透君に私も頭を悩ませた。
継子ではないし、友人だなんておこがましい。
「うーん…」
「変な人だね、A」
「そうですかね…、あっ、お昼は済みましたか?」
「うーん、多分まだ」
食べたか食べてないかあんまり覚えてないんだよね。なんて呟く無一郎君。
そういう時、貴方は大体食事をしていないでしょう。
「Aは何を食べたの?」
「天丼です。」
「へぇ、良いね。」
夕餉は食べに出ようかな、と銀子を撫でる無一郎君。
「Aは、夕餉はここで食べるの?」
「多分…?」
「もし外出許可が出たら一緒に食べようよ」
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ジャンとアニの守り隊 - 久しぶりに鬼滅夢小説見たら面白くて宿題やらずに読んでしまった泣…神作品✨ (2月27日 23時) (レス) @page46 id: 3aa9af30d4 (このIDを非表示/違反報告)
蘭奈莉逢瑠悲@カナリア:ルカ(プロフ) - 天才作者様だ (6月15日 17時) (レス) @page30 id: 4d14879615 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 深夜に見つけて読了したのがAM3:21!運命をかんじました!!そして苦しくて涙が出過ぎてただ今枯れてます😭めちゃめちゃ感動です…素敵な物語から幸せを頂きました!ご馳走様!ありがとうございました〜!! (5月16日 3時) (レス) @page46 id: 2d06e4d39c (このIDを非表示/違反報告)
8190506(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました…!一晩で書き上げてしまったと聞いて本当に驚きました…。でもそれを感じさせないほど素敵な作品でした…! (2022年4月2日 22時) (レス) @page46 id: 5a5b1fad70 (このIDを非表示/違反報告)
chiaki0708(プロフ) - しっかり泣きました!最高です (2021年10月16日 19時) (レス) @page46 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年3月31日 8時