【鬼滅の刃】無一郎君は知らない。

36話 ページ36

「どこへ行けば良いの！？」



「分からない、でも鬼から遠ざかって間違いはない。」





子供や老人は抱えてとにかく距離を作ろうと走る、背後には巨大な金魚。







「わ、勿忘様！」


「これ借りるね」




何か刀を持っている少年からそれを借りて金魚に向かい合う。







「え、何これ…？」



薄くて長くてペラッペラ。



これ、本当に刀？









「で、ですがそれは刃こぼれした恋柱様の…」



甘露寺さんが使っていたもののか、刃こぼれでも慣れていなくても兎に角使える武器は使わなきゃ。






「わぁぁすごいしなる！」




思ったよりしなるその刀、手首を固定して金魚に振りかぶればとりあえず撃破。







「お見事ですA様！」





「ありがとう。これは鬼じゃないから呼吸を使わないから良いけれど…」








鬼と対面したら恋柱の刀では到底敵わない。









私は最後尾を走って迫り来る金魚を斬りながら里の人を援護していた。







「うわぁぁあぁぁ！！」


突然断末魔が聞こえて、一同足を止める。









「……このまま下山してください」





怯える子供の背中を押して私は森の中へ足を進めた。






すると一方から大量の刃物で突かれそうになりなんとか避ける。









「なかなか筋がいい…鬼狩りか。あぁ挨拶が遅れた。私は玉壺と申す者」



「挨拶されても困るんですけど…」






相手の出かたを伺おうと少し蹴ってみようとしたら慌てて壺の中に入った。





「仲良くするつもりは微塵もないし。」





急所は首で間違いなさそうね。






「いやぁ素晴らしい判断力、芸術的センスを感じます」




芸術家は思うままに行動する、だなんて。芸術家に憧れてるのかしら。






「鬼に芸術家は無理じゃない？センスないし…」






私は玉壺本体ではなく壺を割って壊した。


もう壺からセンスの悪さが溢れ出てる、花を生けたくはないわ。









「勿忘様ー！」

「ご無事ですか？」

「鋼太郎が見当たらない故…」







「来ちゃダメ！！」






玉壺が確かに笑ったのが見えて、私は手を伸ばしてなんとか手前の一人は抱えることができた。






「い“やぁぁあぁあぁ」

「うわぁあぁぁぁ」




断末魔が聞こえた。







「鉄池さん…鉄尾さん！！」



すぐ横で悲痛な叫び声がした。









怒りで玉壺飛び込んでいこうとする彼を引き止めて前に立った。

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