19話 ページ19
湯飲みのお茶をぶっかけ合う反射訓練だったのだが、接戦故にお互い全くお茶を被らず終わりになった。
「接戦ですね」
「師範…」
「あっ、胡蝶さん、これみんなで食べてください。私は訓練で疲れちゃって少し横になりたいので…」
あはは、と笑って無一郎君から預かったおまんじゅうを渡せば、返された。
「これはあなたのですよ、Aさん」
絢辻屋、と刻印されたおまんじゅうが全部違う種類でいくつか入っている。
きっと、種類が多くて迷ったんだと思う。
「違います…これは、私のじゃない」
昨日の無一郎君がくれようとした、今日の無一郎君が忘れてしまった、誰かのものだから。
受け取れない、受け取らない、
違う、受け取りたくないの。
「こんなもの貰うくらいなら…、いつもみたいに”はじめまして“って挨拶する方が…ずっと、ずっと…」
まるで今日初めて出会ったように、
いつもみたいに無一郎君を騙す方が、楽なのに。
「今日は訓練はやめましょう、心が追いつかないうちは、身体も追いつきません」
「すみません…」
胡蝶さんに催促され、私は自室と化した休養室へ戻ることになった。
私は、ノーマルな白色のあんこが沢山入ったおまんじゅうが好き。
それをきっと、無一郎君は知らない。
「無一郎君…」
私も、あなたを忘れられたらどれだけ気持ちが楽か。
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ジャンとアニの守り隊 - 久しぶりに鬼滅夢小説見たら面白くて宿題やらずに読んでしまった泣…神作品✨ (2月27日 23時) (レス) @page46 id: 3aa9af30d4 (このIDを非表示/違反報告)
蘭奈莉逢瑠悲@カナリア:ルカ(プロフ) - 天才作者様だ (6月15日 17時) (レス) @page30 id: 4d14879615 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 深夜に見つけて読了したのがAM3:21!運命をかんじました!!そして苦しくて涙が出過ぎてただ今枯れてます😭めちゃめちゃ感動です…素敵な物語から幸せを頂きました!ご馳走様!ありがとうございました〜!! (5月16日 3時) (レス) @page46 id: 2d06e4d39c (このIDを非表示/違反報告)
8190506(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました…!一晩で書き上げてしまったと聞いて本当に驚きました…。でもそれを感じさせないほど素敵な作品でした…! (2022年4月2日 22時) (レス) @page46 id: 5a5b1fad70 (このIDを非表示/違反報告)
chiaki0708(プロフ) - しっかり泣きました!最高です (2021年10月16日 19時) (レス) @page46 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年3月31日 8時