非公開 (ページ18)

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____はて、

幻覚でも見ているのだろうか。
私がよく知る男に似た奴だ。

飲みかけのお茶を手に持ったまま、
私は全身を硬直させる。

まさか。そんな、

ありえない。

…だって、
カラ松様や、チョロ松様だって居たんだから。

ここに来ることなんて
出来る筈が、

「……なに、Aの知り合い？」

『いや、この人は…ッ、んぐぅッ！？』

友人に助けを求める前に、口を塞がれる。

「…どーもぉ、Aの彼氏でーす。」

「え、嘘。この人が…！？」

は？

え、ちょ、何言ってんの。

彼に必死に抵抗していると、
満面の笑みで押さえ付けられる。

「実はさぁ、これからデートの約束してたんだけど。
コイツ、すっかり忘れてて。

酷くない？

彼氏の俺を放っといてさぁ。

…だから、お迎えに来ちゃった♡」

…デート？

お迎え？

っていうか、声も違うし…。

……何が起きてんの一体。

「だからさぁ、ちょーっとAの事借りるねー。
埋め合わせは今度させるからさー。」

まるで本当の人間のように、
流暢な言葉遣い。

表情は貼り付けたような笑顔で。

訳の分からないまま、
私はおかしくなったおそ松様に、軽々と身体を抱き抱えられる。

『…わっ、ちょ、ちょっと…！！』

「……A、今度詳しい話は聞かせて貰うからね。」

『……え、いや、

ち、違うんだって！！』

完全にその場の流れに乗った友人に助けを求め、
四肢を振り回す。

……ッひ、助けて…ッ！！

路上で男に米抱きにされて叫ぶ女が居たら、
多分それ私です。