噴水に沈む月

10 ページ11

.


『(…分かっています

幼い頃から、批判する大臣たちに負けずに
政治だけでなく武道や外交も多く学び
努力を重ねてきたことを

国の未来を、国民を誰より思っていることを)』

シ「(ではなぜ！！なぜ、こうも邪魔をするのだ！
お前の父も、国を守るべき同士であるべきだろう

なのに…私はそれほどまでに、邪魔な存在か？

お前の事も、友であると信じていたのに
ただ、茶を飲みながら語り合える…そういう仲だと思っていたのに！！)」


私だって、そう思っています

私の方こそ、そう信じたいです

でも…分かっているはずです
私達の立場では、それは不可能だと

だから、私に言える言葉はこれしかない


『(申し訳ありません、シトロン様)』

シ「(…なぜ、ここまで来た

何しに来たのだ)」


会いたいから、それではいけませんか？

好きだから、慕っているから

守りたいから、それが理由だとは信じられませんか？


『(…監視、です

シトロン様が、もうお父様の道を阻まないことを
確信するまでは、ここに居ます)』

シ「(ふっ、勝手にしろ

だだ一つだけ約束してくれ)」

『(なんでしょう？)』

シ「(お前から見たら、ここにいるのはただの他国民かもしれないが

私にとっては、ここにいる皆が家族なのだ

だから、どうか)」

『(言われずとも、分かっています)』


ただの、他国民…か

私の事を、冷たい操り人形か何かと勘違いしているんだろう

いや、あながち勘違いではない…か


.

11→←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す