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公共の場で多数の人に迷惑を掛け
元彼にも八つ当たりし
行く宛ても無く暑さに負けながら
灼熱になったコンクリートの上をただフラフラと歩く
伸び続けている髪がただただ鬱陶しく
そして、水分も含んでいないからか
今にでも気を失いそうだ
「 … やば … っ 」
はぁ 、はぁ と息を切らしながら歩く東京の住宅街
正直ここが何区かも、何町なのかも分からない
そんな所で倒れて野垂れ死に
なんて嫌だけど、そんな終わりが今ここで迎えてしまう
俺は息を吸った途端
吐くことを忘れ、息が詰まる苦しさに襲われた
もう死んでもいい、そう願い
自ら倒れる事を願った
「 こんな所で死なないでくれる？
俺の恋人さん 」
目を瞑り、そのまま倒れようとした瞬間
俺の身体は白くて細長い腕に支えられる
「 …… うそ … 」
ゆっくりと振り向き、そう呟いた瞬間
俺は目の前が真っ暗になった。
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「 んん っ …… 」
次に目が覚めたのは、紅色の空が一面に広がる時
自分の自宅のベッドで目が覚めた
付けた覚えのない風鈴がベランダにぶら下がり
隣を見ると、水滴が垂れているコップの中に冷たい水
それに綺麗に切られてあるスイカも二つあった
エアコンが無いから扇風機が首を回しながら涼しくしている
まるで夏そのもの
「 お、おはよう翔太、体調はどう？ 」
新聞紙を持ちながら俺の部屋にやってきた彼
床に新聞紙を引いて、真ん中に小さな椅子を置く
重かった体は少し軽くなり
ぼーっとする事もなく、俺はゆっくりと身体を起こし
彼を見詰めた
「 椅子に座って、今から髪切るよ 」
ハサミとクシ、水が入った中くらいのバケツにドライヤー
を持ってやってきた彼が、俺を見詰めながら告げる
「 髪 … ？ 」
「 翔太の髪、首にべっとり付いてて暑苦しそうだったから
俺が散髪してやろうかなって、ほら早く 」
俺は少し口を開いて彼を見詰めた後
立ち上がって、椅子の元へと向かい、ゆっくりと腰を下ろす
残りの新聞紙を首元に巻かれれば、彼は俺の髪を
少しずつ濡らした
「 今からかっこよくしてあげるよ 」
彼の声を聞く度いつも思う
寂しいな
と。
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作者名：渚 | 作成日時：2022年4月29日 21時
