おかえり。 (ページ38)

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「えっちゃん凄い、全問正解」

「ほんと！？えり頑張ったもん！」

「頑張った賞としてお菓子をひとつあげましょう」

「え！やったー！」

お昼真っ盛りの正午

今日は梅雨入りもあって大雨で、お客さんが来ない

それだからかやれる分の事はやって

レジに突っ立ってるのもアレだからと阿部の娘の

問題集の丸つけをする

イートインスペースにドリルを広げて黙々とやっている

後ろ姿を見てると、応援と言うよりもなにかしてあげたくなる

親でも無いのに、なんで思うのだろうか

俺は商品棚から一つ好きなお菓子を選ばせ

お会計を済ませれば、そのお菓子を食べる姿を眺める

幸せそうに食べるその姿

阿部さんにそっくりだ。

「しょたくん！あのね！」

「ん？なーに」

お菓子をそろそろ食べ終わりそうという所で

彼女が口を開く

分からない問題でもあるのかなと、顔を近づけて

耳を貸すと

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「お父さんね、しょたくんの事が好きなんだよ！」

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好き、か。

小学生の好きの認識が「ただの好きな人」

「友達よりも少し上の好きな人」

「気になってるだけ、の人」

その時の感情なんて忘れてるから

どんな風にえっちゃんが思ってるのかは分からない

だけど

わざわざ友人関係としての好きということを報告するのか

俺なら、しない。

いや、こんな30間近の人間が思っても

小学生の思いと近いとは限らない

じゃあ、なんなんだ。

「それは “ おともだち “ として

好きな人、って事？」

「んーと … えっとね！」

彼女は何て言えばいいのか分からなかったのか

ドリルをペラペラとめくり

毎ページに描いてある絵を見れば「違う」と言いながらめくる

そうしてやっとの事で出てきた

「これ！」

という絵には

結婚式を挙げている二人のカップルの絵が

描かれていた。

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