6 ページ25
ab「はっ……くだらねえ」
彼はラウールの訴えを鼻で笑って一蹴した。
ab「だったらなんで人間はchipなんて作ったんだよ」
ru「僕は昔の事は分かんないけど……その時は能力が、力が欲しかったのかな」
ab「違う!! 力だけじゃない、俺たちに希望を求めたんだよッ」
突然語気を荒げた彼は、ラウールが口を挟む前にさらに畳みかけた。
ab「人間はchipを量産するところまで行って満足したのか? 量産型を創った途端に俺たちの能力は封印するのか? 危険だから? ふざけんな、そんなのおかしいだろ!! A-chipはもっと世に広まるべきだ!! A-chipこそが人間の希望になるはずなんだよッ!! そのために俺たちは創られたんだろッ!!」
彼のあまりの剣幕にラウールは思わず何も言えなくなった。
ab「人間は俺たちに希望を求めた! だから俺たちを創り出したんだろ!! だからその望み通りに希望を創ってやろうとしたんだろうがッ!!」
彼の叫びを聞いて、ラウールの感情はぐらつき始めた。
人間の勝手な欲望で創り出された挙句、勝手に用済みにされ、途端に異端扱いされて忌み嫌われたA-chip。
chipのままなら感情など持たない。それが人間の体を借りて感情を持った瞬間、ここまで悲痛な叫びが爆発するのか。
ab「……なあ、何がおかしいんだよ……俺の考えの何処が間違ってるんだよ!!」
鬼気迫る表情で問いかけられ、ラウールはすぐには答えられなかった。
A-chipの立場に立てば、その考えは間違っていないのかもしれない。
ラウールが＿＿人間が、その考えを否定すべきではないのかもしれない。それでも。
ru「……全部、間違ってるよ」
ab「は……?」
ru「そもそもchipなんて作ったのが間違いだったんだよ」
彼の気持ちも理解できるからこそ断罪しなければならないと思った。
これ以上暴走させる訳には、罪を重ねさせる訳にはいかないと思った。
ラウールは彼を追い詰める言葉を言い放って唇を噛んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1657人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の最後まで展開が読めなくて魅入ってしまいました。読んだ後は言い表せない気持ちになって…終わってしまうのは寂しいですが、この作品に出会えて良かったです。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫茶(プロフ) - 最後まで面白かったです。完結お疲れ様でした。ものすごく楽しい時間をありがとうございます。今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月16日 0時) (レス) id: 49683351d4 (このIDを非表示/違反報告)
87(プロフ) - 完結お疲れ様でした！本当に大好きな作品で、終わって欲しくないとすら思っていました、、なんだかすごく大きな問いを私たち自身にも投げかけられたような気分です。楽しませていただき、本当にありがとうございました！今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月14日 17時) (レス) id: 14f6dae557 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 完結お疲れ様でした！めちゃめちゃ面白かったです！毎日楽しみにしてました！ありがとうございました！ (2020年6月14日 14時) (レス) id: c32ac9b701 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 完結お疲れ様です!!怜さんの作品の更新を毎日楽しみにしてました!!またいつかこういう能力系などのすごい作品が作られるのを待っています!! (2020年6月14日 13時) (レス) id: f176b79d77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2020年6月5日 21時
