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ab「どう? 時が止まった世界は」
ru「っ……不思議だね」
ラウールは目黒の手からそっと自分の手を抜いて答えた。
その時に閃いた。自分が触れれば、他のメンバーにかけられた能力を解けるかもしれない。
しかし行動を起こす前に、阿部がラウールを牽制した。
ab「あ、下手な真似しないでね? 言う事聞かないと全員一気に感電死させてやるから」
ru「そんな、」
ab「まあしないよね、お前は賢いもんね」
そう言って阿部が目を細める。
＿＿ここからは、たった一人での戦い。
ラウールは大きく深呼吸をしてなんとか自分を落ち着かせ、改めて阿部に向き直った。
ru「……どうして僕を選んだの」
ab「そうだなあ……「Zero」を手に入れた時から運命は感じてたんだけど」
そういえば、阿部がこの能力を最強なんて言っていたのをラウールはふと思い出した。
ab「でもそれだけじゃない……お前は凄く頭が良い」
阿部が身を乗り出し、禍々しく光る目でラウールを愛おしそうに見つめた。
飲み込まれそうなその瞳にラウールは息を飲んだ。
ab「みんな俺の理想を分かってくれない。誰も。誰も分かってくれないの。でもお前なら……頭の良いお前なら、分かってくれるよね」
ru「理想、」
ab「そう」
ru「どんな、」
その問いに、阿部は恍惚の表情を浮かべて答えた。
ab「俺の理想はね……この世に沢山のA-chipを産み落とす事」
ラウールは阿部の言葉を聞いて拳を握りしめた。
一枚あるだけで恐ろしいA-chipが、沢山作られて世に放たれる。そんな事が許されてたまるか。
その理想のために、何人もの人間が犠牲になったのか。
それに、本当にそんな事が出来るのか。出来たとして、そんな事をしたらこの世の中はいったいどうなるのか。考えたくもない。
ru「……本気で言ってるの」
ab「本気だよ? そうだ、証拠見せてあげる。お前には見せようと思ってたもの」
阿部はそう言って立ち上がると、ポケットに手を入れながら少しずつ近づいてきた。
二本の指に挟まれて出てきたのは、赤いSDカードのようなもの。
そこに記されたアルファベットを読み取って、ラウールは絶句した。
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ふわふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の最後まで展開が読めなくて魅入ってしまいました。読んだ後は言い表せない気持ちになって…終わってしまうのは寂しいですが、この作品に出会えて良かったです。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫茶(プロフ) - 最後まで面白かったです。完結お疲れ様でした。ものすごく楽しい時間をありがとうございます。今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月16日 0時) (レス) id: 49683351d4 (このIDを非表示/違反報告)
87(プロフ) - 完結お疲れ様でした！本当に大好きな作品で、終わって欲しくないとすら思っていました、、なんだかすごく大きな問いを私たち自身にも投げかけられたような気分です。楽しませていただき、本当にありがとうございました！今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月14日 17時) (レス) id: 14f6dae557 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 完結お疲れ様でした！めちゃめちゃ面白かったです！毎日楽しみにしてました！ありがとうございました！ (2020年6月14日 14時) (レス) id: c32ac9b701 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 完結お疲れ様です!!怜さんの作品の更新を毎日楽しみにしてました!!またいつかこういう能力系などのすごい作品が作られるのを待っています!! (2020年6月14日 13時) (レス) id: f176b79d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年6月5日 21時
