ゴウリュウ/1 ページ17
虐殺を起こして以降、目黒は諦観したような笑みを貼り付けたままだった。
向井たちの言葉に反応はするもののその表情は変わらず、彼が何を思っているのか、さらに分からなくなってしまった。
見かねた宮舘は「Mind」を使い、彼の心の声を聞き取った。
＿＿壊したい。殺したい。死にたい。
笑みの裏でその言葉だけがぐるぐると渦巻くのを聞いて、宮舘は唇を噛んだ。
kj「……めめ、なんて」
dt「っ……」
ru「教えてよ、」
今敵に出くわせば、目黒は間違いなく能力を使う。そしてあの惨劇を繰り返す。
下手すれば、その狂気をいつか自分に向ける。
dt「……目黒の手、ずっと握っててくれる?」
ru「ずっと?」
dt「ずっと。二人の事は必ず守るから、頼む」
宮舘は目黒から聞こえた声を向井とラウールには伝えず、ただ目黒に能力を使わせるな、とだけ話した。
目黒とラウールがずっと手を繋いでいる以上、彼等はもう自分の身を守る事すら危うい。
つまり宮舘と向井は、今まで以上に必死に戦わなければいけない。
何時敵が襲ってくるか分からない状況で、宮舘と向井はより一層気を引き締めた。
しかし、彼等はあっさりと阿部の部屋まで辿り着いた。
ここに至るまで、誰一人として宮舘たちに襲いかかる者はいなかったのである。
kj「……流石におかしいよな」
ru「どう考えてもおかしい」
dt「……嫌な予感しかしない」
阿部の部屋の前で話をしても、誰も現れる気配は無い。
宮舘は一つの可能性に思い当たった。こちらに現れない、ということは。
険しい顔のまま、静かに目を閉じた。意識を集中させ、彼の心の声に耳を澄ませた。
最も精神の波長を合わせられる「彼」の声に。
＿＿……、……でだよ!
微かに聞こえたその声に、宮舘はより意識を向けた。
＿＿流石に多すぎるだろ! きりがねえ!!
聞き取ったその声で確信した。こちらが安全という事は、彼等が危ないという事だ。
dt「……目黒たちを頼んだ」
kj「え、ちょ……っ!?」
宮舘は向井にそう言い残して走り出した。
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ふわふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の最後まで展開が読めなくて魅入ってしまいました。読んだ後は言い表せない気持ちになって…終わってしまうのは寂しいですが、この作品に出会えて良かったです。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫茶(プロフ) - 最後まで面白かったです。完結お疲れ様でした。ものすごく楽しい時間をありがとうございます。今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月16日 0時) (レス) id: 49683351d4 (このIDを非表示/違反報告)
87(プロフ) - 完結お疲れ様でした！本当に大好きな作品で、終わって欲しくないとすら思っていました、、なんだかすごく大きな問いを私たち自身にも投げかけられたような気分です。楽しませていただき、本当にありがとうございました！今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月14日 17時) (レス) id: 14f6dae557 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 完結お疲れ様でした！めちゃめちゃ面白かったです！毎日楽しみにしてました！ありがとうございました！ (2020年6月14日 14時) (レス) id: c32ac9b701 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 完結お疲れ様です!!怜さんの作品の更新を毎日楽しみにしてました!!またいつかこういう能力系などのすごい作品が作られるのを待っています!! (2020年6月14日 13時) (レス) id: f176b79d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年6月5日 21時
