第八話 ??.side ページ9
私達は、”あの時”確かに死んだ。
主様がいない絶望。生きていくことの無意味さ。この二つが襲い掛かってきた。
だけど、気が付いて、目が覚めた時には、脈が波打って生きていることに気が付いた。
目に入ったのは、主様でも、悪魔執事の皆でもない、知らない女性だった。
小学校に入る前に、自分の前世について全て理解し、また絶望した。
側にいてくれたフルーレ君やラト君。それに、誰よりも守りたかった人が側にいない孤独感。
だけれど、少しだけ希望を持つことができた。
私がこの世に生まれることができたんだ。他の執事や、それこそ主様も、同じことができるはずだ。
…確信が持てず、自信に変わることはできなかった。
私がここにいることは、奇跡だ。その奇跡が、主様や仲間たちに降り注ぐことを、願ってる。
？？「…そろそろ時間か。」
先生という職に就いてからは、仕事の忙しさで、主様が恋しくて仕方が無かった。
今日は入学式。新入生を祝わないとだな。
そう思いながら、辺りを見渡す。
――――最初に目に移った生徒は紛れもなく、私達が守りたかった人だ。
心臓が止まりそうなほど、驚いてしまった。そして急に、涙が零れそうになり、それを我慢した。
速く、あの人の元に駆け寄りたい。そして、謝りたい。あの時守れなかったことを。
グッと我慢し、何とか入学式が終わった。
そして教室へ入る。中にはあの人や、フルーレ君、バスティン君もいた。
嗚呼、私は一人では無かったんだね。奇跡ってのは、本当に、起こるんだね。
心の底から安堵し、それと同時に、嬉しさでいっぱいだった。
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作者名：夢野みぃ | 作成日時：2023年12月10日 14時
