好き〜１５〜 ページ15
次の日の放課後。
『ほら潤くん、行くよ！』
「相葉くん助けて」
「いってらっしゃーい！！」
「あいつ後でしばく」
潤くんの目から生気が消えている･･･。
これからリレーのメンバーで会議だというのに大丈夫だろうか。
そういえば結局、櫻井先輩と明里さんは付き合ってるのかな。
････付き合ってるよね。
勝手に納得して落ち込むなんて馬鹿だけど。
『失礼します』
「失礼します･･･」
二人で教室に入ると、上田くんが手を振りながら迎えてくれた。
「潤引きずられてんじゃん、だっせぇ！」
「うっせ、笑うな」
『私達で最後？』
「いや、まだ数人来てない」
ちらっと様子を見ると、確かに三年生が何人か来ていないようだった。
櫻井先輩も例外ではない。
「にしても潤がリレーに出るとはなー。絶対嫌がると思ったのに」
「悲しいことに嵌められたんだよ」
『潤くんが寝てたからでしょ。でも上田くんはリレーに出ると思ってたよ。長距離のタイム１位だもんね』
「いや、本当なら騎馬戦に出ようと思ってた」
『え？そうなの？じゃあ何で･･･』
「そりゃもちろん、兄貴が出るからに決まってんだろ！」
上田くんが興奮したように身を乗り出す。
兄貴というのは櫻井先輩のことで、上田君は先輩のことをめちゃくちゃ尊敬しているらしい。
同じサッカー部だからか余計に懐いているようだ。
「くじで決めるとはいえ、やっぱ兄貴と同じチームになりてぇなぁ････もし違ったら脅すしかねぇ」
『一番やっちゃいけないやつだよ、それ』
「まぁでも、松下や潤とも同じチームになれたらいいけどな」
私は「そうだね」と少し苦笑いをする。
だって、そしたら櫻井先輩とも同じチームになるかもしれない。
絶対に緊張するし･･･なによりもし転んだりしたら恥ずかしいし。
そんなの絶対見られたくない。
遠くから応援するくらいがちょうどいいのだ。
「ごめん！お待たせ！」
しばらくすると、爽やかな声が教室に響いた。
一気に彼に視線が集まる。
「悪い、先生の話が長引いて････俺達以外揃ってる？」
「はい、三年生だけです」
「そっかぁ･･･本当にごめんな、みんな」
櫻井先輩は手を合わせて謝った。
「兄貴は何も悪くないッスよ！全然待ってませんし！なぁ？」
上田くんの「なぁ？」があまりにも威圧的だったのか、全員慌てて頷く。
それは櫻井先輩も感じたのか、困ったように笑った。
･･･やっぱりかっこいいなぁ････。
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年9月2日 15時
