好き〜１４〜 ページ14
Ｓ side
「で？どういうことか説明してや？」
「そうだねぇ。俺も聞きたいな〜」
「･････チッ」
電話口と目の前の男に問い詰められ、思わず舌打ちする。
目の前の男が「あっ！教師に向かって舌打ちしたな！」って唇を尖らせた。
うっせぇ。何で二人から責められなきゃなんねーんだよ。
「Aちゃんから聞いてんけど、明里ちゃんと付き合ってるんやって？」
「･････お前はなんて言ったんだよ」
「否定したに決まってるやん。っていうかいつも翔くんが否定してるんやろ」
「で、そしたら松下はなんて？」
「『はぁ、そうですか････』って。納得してないような感じ」
横山の言葉に、出かかったため息を飲み込む。
めんどくさいことになりそうだ･･･。
しばらく話してから電話を切る。
視線を戻すと、男はニヤニヤと笑いながら頬杖をついていた。
････やっぱこの人とファミレスに来るんじゃなかった。
けど断ろうとしたら「成績下げる」なんて脅してきたし･･･仕方ない。
この人、やると言ったらやるからな。
「何ニヤニヤしてるんですか、二宮先生」
「いや？翔ちゃんと明里ちゃんがそんな関係だったとは知らなくてね〜」
「わざとらしい･･･つーか元々俺達の関係知ってるでしょう、あんた」
「まぁ、そりゃね。教師たるもの生徒の情報は把握しとかないと。ましてや翔ちゃんのクラスの担任ですからね、ワタクシは」
「そのうえでそういう態度取るとか、本当性格悪いですね」
「誉め言葉よ、翔ちゃん」
両手で頬杖をつきながらウィンクする先生。
相変わらずあざとい。本当に三十前半なんだろうか。
「それで？松下の名前が聞こえたけど？」
「別に･･･話の流れで俺と明里の関係がどうのこうのってなったらしくて･･･」
「そこで「あの二人付き合ってるんですよね」って言われて、って感じ？」
「そういうことです」
「へぇ〜。松下も可愛いとこあるんだな〜」
あ、これ今度いじるつもりだな。
可哀想に。
「で？で？？」
「「で？」ってなんですか」
「可愛い可愛い後輩に想われてる先輩はどうするの？」
「････どうもしません」
ぶっきらぼうにそう言って目の前のコーヒーを啜る。
「しばらくは放っておきます」
「えー？気付いてて見ぬフリするの？残酷だねぇ」
「････約束もあるし、なにより明里がいるので」
「･･････明里ちゃんを言い訳にするのはどうかと思うけどね」
そんな言葉も聞こえないフリをした。
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年9月2日 15時
