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ページ31

『只今…』


………


やはり、お帰りなさいの一声すら帰ってこない。


まだ寝てるだけ。きっとそうだ。


トコトコトコ


ガチャ


リビングの扉を開ける。


そこにはお兄さんがいた。


『只今…お兄さん』


「……何故急に帰ってきた?それにまだ死んでいなかったのか。」


『っ…』


『お兄さんは、何時になれば。どうすれば私の事を認めてくれるのですか?』


『私が太宰さんに認めて貰えたらお兄さんは私を認めてくれますか?』


「僕はAを認めるつもりはない。僕は貴様のことを養子と位にしか思っていない。」


「兄弟だと思ったことは…一度も無い」


『……そうですか。』


酷く震えた声で返事をするA。


違う。僕はそんなことを言いたいのではない。


ただAにポートマフィアを抜けて欲しいだけ。


あの日Aが家を出ていったあと銀と話した。


せめて、Aだけは光の世界にいてほしいと。


初めて会ったあの日の目から光が無くなってゆく姿を見たくなかった。


あの日のままでいてほしかった。


僕と銀の手は汚れすぎた。だからせめてAだけは…



「それに貴様等が太宰さんに認めて貰える筈がない。余りに自惚れない方が良いぞ。」


「ポートマフィアはそれほど甘くはない。」


『はい。芥川さん。』


あぁまた。


また、僕達の関係に深く闇い穴が開く。


『余りに長居しても迷惑でしょうから、服を用意したら出て開きます。』


『今迄ありがとうございました。芥川さん。』


「…」


僕は何も言えない。


僕にAを止める権利などなかった。


こうしてしまったのは僕だから。

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夢幻泡影(プロフ) - コメントありがとうございます!かなり切ない話ですよね笑…感情移入?してくださり、嬉しい限りです! (2023年3月13日 23時) (レス) id: fd232344cc (このIDを非表示/違反報告)
結愛 - 初コメ失礼します!!切なすぎて涙がほお伝って入ってたそれも無意識に (2023年2月23日 22時) (レス) @page9 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
夢幻泡影(プロフ) - ありがとうございます! (2022年12月28日 11時) (レス) id: c83ee7760b (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - 読んでると切ないけど面白いですから (2022年12月27日 22時) (レス) @page37 id: 8933f39901 (このIDを非表示/違反報告)
夢幻泡影(プロフ) - ご報告ありがとうございます。私が気付けた箇所を一話から修正しました。この度は芥川の妹は。。を読んでくださりありがとうございます! (2022年12月27日 12時) (レス) id: c83ee7760b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢幻泡影(むーにー) | 作成日時:2022年12月4日 21時

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