【文スト】召使は一番になれない 其ニ

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ゴーゴリ「行かないのかい？」



『フョードル様、先を急がなければ…』





「安心してください。もうそろっとで駒が揃いますから」




その後きたのは重力使いの中原中也





『…』





ゴーゴリさんと二人で取り残された部屋




『やっぱりもう私は彼の隣に立たないのですね』





駒を呼ばずとも一声かけて下されば





私はいつでも貴方の隣に駒として立つのに





ゴーゴリ「君はまだ…」






『えぇ、私の心はまだ彼の中に囚われていますよ』






『ゴーゴリさんは自由な鳥になりたいんでしたっけ？』







ゴーゴリ「あぁ、君もそうじゃないか？」







『…私はずっと囚われていたい』






『私の人生は彼のものなんです』





ゴーゴリ「でも、君はもう」





『召使じゃない』





『けれど、言われてませんもの』





『私の人生を返すとはね』





『少し、我儘を言わせて。言い訳を言わせて…』





ゴーゴリ「君も変わっているね」





『えぇ』





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外は美しかった





海が煌めいて






風が吹いて






空は数え切れないほどの星





…





でも、何かたりなかった






隣で見てくれる誰かが






彼はあの扉から出てきてくれるのだろうか






別れの一言も言えぬまま






あれが最後なんて私は嫌だ






けれど、太宰さんにも生きてて欲しい







『私、欲張りになってしまったみたい』






ゴーゴリ「少しくらい良いじゃないか」







『彼のものでいたかった』







『彼から必要とされたかった』







『ずっと彼の隣にいたかった』







『彼に触れたかった』






『私はッ』







欲だらけの醜い人間なんです

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