元幻想郷少女は異能力者弐篇 (ページ9)

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【５章８話】Murder on D Street ページ9

「そんな……偽装の為だけに遺骸に二発も撃つなんて……非道い」

「………」

ポロリと杉本巡査が溢した言葉を聞き逃さずに

御阿礼は横から目を細めて杉本巡査を見つめている

「ぶ〜〜」

暗い雰囲気を打ち壊す様に乱歩の大きい声が響く

どうやら６０秒の時間は過ぎたようだ

その乱歩の声に前にいた杉本巡査はビクッと肩を震わす

「はい、時間ぎれー
　駄目だねぇ君。名探偵の才能ないよ！」

「あのなぁ貴様！」

だむだむ。と乱歩は笑いながら杉本巡査の頭を叩いた

だがそんな乱歩を気に入らないのか箕浦は眉に皺を寄せる

「先刻から聞いていれば
　やれ推理だやれ探偵だなどと通俗小説の読み過ぎだ！
　事件の解決は即ち地道な調査、聞き込み、現場検証だろうが！」

「はぁ？」

そう腕を組み云った箕浦に乱歩は

何言ってんだ？と云わんばかりの顔をする

「まだ判ってないの？
　名探偵は調査なんかしないの。僕の能力『超推理』は、一度経始すれば
　犯人が誰で、何時どうやって殺したか、瞬時に判るんだよ。
　のみならず、どこに証拠があってどう押せば犯人が自白するかも啓示の如く頭に浮かぶ」

乱歩は自身の頭を指先で当てて

目を少し開け挑発的な笑みを浮かべながら云う

「巫山戯るな貴様は神か何かか！
　そんな力が有るなら俺たち刑事は皆免職じゃないか！」

「まさにその通り。ようやく理解が追いついたじゃないか」

「───ッ！」

両手を広げ話す乱歩

そんな様子をキッと箕浦が睨みつける

「まぁまぁ、刑事さん落ち着いて。乱歩さんは終始こんな感じですから」

「そのうち慣れますよ」

ピリピリした空気の間に太宰と御阿礼の二人が割って入る

だが原因を作った乱歩は悪びれもなく逆に胸を張って云った

「僕の座右の銘は『僕が良ければすべてよし』だからな!」

(座右の銘聞いてこんなに納得したの初めてだ)

.中島敦
【座右の銘】＿＿＿＿生きているならいいじゃない

「やれやれ」

.太宰治
【座右の銘】＿＿＿＿清く明るく元気な自殺

(皆の座右の銘クセ強いなぁ)

.稗田御阿礼
【座右の銘】＿＿＿＿死ぬこと以外は掠り傷

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