元幻想郷少女は異能力者弐篇 (ページ32)

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【６章１４話】人を殺して死ねよとてページ32

一向に夜叉の刀が来なくて恐る恐る瞼を上に開けると敦は目を見開く

目に映っているのは夜叉の刀を受け止めている自身の腕だった

敦の腕は制御出来なかった虎(月下獣)の力が腕に籠もったのか

太宰と倉庫に居た時、芥川と闘った時と同じように腕が虎化していたのだ

(これは……！？)

受け止めたのも束の間で夜叉は直に刀に手をかけ直さま攻撃をする

夜叉の残像が現れる程の速い斬撃が顔の直前まで届くと敦はその攻撃を躱した

恐らく制御出来た虎(月下獣)の力で速力度が高まったのだろう

速力が上がった影響で斬撃を凡て躱し夜叉の懐に入り込み腕を殴った

その反動で夜叉が持っていた仕込み刀は手放され電車の外に落ちていった

「終わりだ」

「……」

敦は攻撃手段が無くなり夜叉に隙を感じ取り

鏡花の足下に回り込み首元に虎の鋭い爪を当てた

「この能力を止めて爆弾の場所を教えろ」

「私の名は鏡花、３５人殺した」

「一番最後に殺したのは三人家族
　父親と母親と男の子。夜叉が首を掻っ切った」

その言葉の後に鏡花はぐっと自身の着物の赤い衿み掴み開ける

敦は鏡花の着物の中に入ってくる物に目を見開いた

「……何てことだ」

鏡花の開いた着物の中には大きな爆弾。

オソラク装着している爆弾は電車に配置されている物だろう

そんな悲劇的な出来事をされているが鏡花の顔は無表情だ

「君は……何者なんだ。
　言葉からも君自身からも何の感情も感じない、まるで殺人機械だ
　言葉にしてくれ、望みがあるなら言葉にしなきゃ駄目だ。

　こんな事が本当の君のしたいことなのか？」

「……」

鏡花は敦の問に何も応えない

それが数秒続くとザーザーと車内放送が鳴り始めた

《こちら車掌室。
　敦まだ、生きてッかい？》

「与謝野さん！」

車内放送からの声は先頭車両での闘いで梶井に勝利した与謝野だった

与謝野がマフィアに勝った事で敦の顔には希望が芽生えた

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