元幻想郷少女は異能力者弐篇 (ページ24)

今日:14 hit、昨日:1 hit、合計:17,634 hit

【６章７話】人を殺して死ねよとてページ24

冷静な探偵社員の二人とは違い乗客達は混乱状態となっており

皆、比較的安全な真ん中の車両に悲鳴を上げながら走っている

そんな中、与謝野は向かってくる乗客を避けながら先頭に向かって歩く

(一般人も乗ってる白昼の列車に自爆紛いの脅迫
マフィアの謀にしても豪い覚悟───否、執着だね
一体、どんな奴が────)」

与謝野が考え事をしながら歩いていると先頭車両に到着し勢い良く扉を開けた

すると足下に転がっている檸檬によって与謝野は転びかける

普通の檸檬ならば転びかけただけで終わりだ。

だが、此の檸檬は普通の檸檬とは違うらしく

与謝野の履いている靴のヒールに鉄で出来た何かが引っ掛かりピンッと引き抜かれた

その事を与謝野も気づいたが時はもう遅く先頭車両の入り口が爆発する

「果断なる探偵社のご婦人よ、ようこそ！
　そして、さようならぁ〜〜〜！」

爆発を受け車両の入り口で硝子の破片を被り

与謝野は横たわっているが犯人の声に反応し指先をピクッと動く

「おやおや……
　誰かと思えば有名人じゃないか」

「ほう、驚きだなぁ。最近の女性は頑丈だ」

爆発を受けながらもヨロッと何とか立ち上がった与謝野に

犯人の男は興味深い声を漏らし自身も立ち上がった

「男女同権の世だからねェ。
　妾からすりゃ、アンタみたいな指名手配犯がこんな所にいる方が驚きだよ

　梶井基次郎

　秘密主義のマフィアの中にあって珍しく名の知れた爆弾魔だ
　この前の丸善ビル爆破事件で一般人を28人殺してる」

［ポートマフィア構成員
　梶井基次郎＿＿＿＿能力名【檸檬爆弾】］

「あれは素晴らしい実験だったよ！
　拍動の低下！神経細胞の酸欠死！乳酸アシドーシス！
　死とは無数の状態変化の複合音楽だ。そして訪れる不可逆なる『死』！ああ！」

両手を天井に向けてクルクルと回る梶井。

少し格好(ポーズ)は違うが其の様子は宛ら厄神様のようだ

「死が……実験だッて？」

そんな『死』という言葉を発し楽しい様子の梶井を見て与謝野は怒りを現した

「科学の究極とは『神』と『死』！
　どちらも実在し、しかし科学で克服できず、ゆえに我らを惹きつける」

怒っている与謝野を気に求めず梶井は

回転するのを止め懐から檸檬型爆弾を取り出す

「───さあて〝貴女の死は何色かな〟？」

「確かめてみな……！」