元幻想郷少女は異能力者弐篇 (ページ16)

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【５章１５話】Murder on D Street ページ16

「他の……犯行現場とかは、どうやって」

「そこまではお手上げだよ。
　乱歩さんの目は私なんかより、ずっと多くの手掛かりを捉えていたのだろう」

「こんな事が出来るのは乱歩さんか、過去を見る能力者
〝触れた物の記憶を読む〟異能力者しか判らないことよ」

二人は何気に乱歩の事を褒めながら

両腕を上に挙げコツコツと靴を鳴らし歩き出す

「あ、でも！彼女の台詞まで中ててましたよね」

「うん。あれはね……」

思い出した様に声を上げ云った敦に太宰と御阿礼は振り向いた

「彼女には交際相手は、いないって話しだったよね
　でも彼女の腕時計、海外銘柄ものだ。独り身の女性が自分用に買う品じゃあない」

「それに、杉本巡査の腕時計も同じ機種の紳士用。」

「じゃあ……あの二人は」

二人の誘導により推理の穴埋めが出来たのか

敦は汗を少し流し出しながら目を見開いた

「うん、早朝の呼び出しに化粧もせずに駆けつける
　そして同じ機種の腕時計。

　二人は恋人同士だったのだよ。職場にも秘密のね」

「だから彼は彼女の顔を蹴り砕けなかった
　そうしないとマフィアの仕業にみせかけれないと判っていても
　彼女のことは殺してしまったのは悪いけれど、愛していたのよね」

辛そうな顔をして俯き歩いている敦に

太宰は何時もの明るい声で云う

「さて敦君。これで判ったろう？」

「何がです？」

首を傾げ不思議そうにする敦に

太宰は振り向きニコッと笑みを浮かべた

「乱歩さんの、あの態度を探偵社の誰も咎めない理由がさ」

太宰の言葉で敦は何時も通りになり微笑ましい笑顔で歩いていると

突然、三人より一歩前で歩いていた乱歩が近づいてくる

「御阿〜此方来て！」

「はい、なんですか？」

「あの御菓子屋に行ってて。僕は二人に話しが有るからさ」

近くにあるレトロな店を指差し

御阿のオススメを選んで来てね。と云った

乱歩に御阿礼は素直に返事をし駆け足で御菓子屋に向かった

「話しは何ですか？乱歩さん」

「太宰は判っているクセに
　太宰、敦。御阿は鈍くて気づいて無いかもだけど渡さないからね」

先程の笑顔は何処へやら

スンと真顔で殆ど開いてない瞳を開け云った乱歩に

敦の頬は真っ赤に染まり太宰は冷たい笑顔になる

「へッ！？」

「フフッ、長年見ているんです。私も渡すつもりは無いですよ」

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