第二十三話 「酔い」 ページ25
___またいつかな。
織田さんは私の問いにそう答えた。
目の前を見ると、もう目的地に到着しているようだった。
『ありがとうございました』
「礼は要らない」
織田さんは一言そう言い切る。
そして、不発弾の処理とやらを進める。
失敗したら死は免れる事が出来ない。
ドカーンだ。吹っ飛んでいくのだ。
____『…っふぅ、終わった。』
___「俺もだ」
時間は掛かったが、やっとの事で無事に不発弾の処理を終えた。
日は沈み、もう夜と云うに相応しい景色が並んでいた。
『帰りは1人で行きますので、失礼します。』
「目的地は同じポートマフィア本部なのにか?」
『待ち合わせがあるので…』
「…そうか」
__待ち合わせ?無論、嘘である。
ただ、今はそういう気分だったのだ。
「じゃあ」と云って車の窓の隙間から手を出し、横に振る織田さんの姿が見えた。
私は、お返しに手を振り返す。
暫くすると、手は仕舞われ、更に車が豆粒のように小さくなり、やがて見えなくなった。
__『はぁ…地味に疲れたわ』
「そうか、お疲れ様だな」
『__っ?!は?』
__其の声の主は、中原さんであった。
「なンだよ。俺が居るのはそんなに可笑しいか?」
『勿論。』
「いいじゃねェか。仕事終わりくらい癒しが欲しいンだよ」
そう云って、中原さんは此方に抱きついてきた。
確りとホールドされる。
『離せ…』
「……許せ」
『異能力_k』
私がそう云いかけると、中原さんはパッと手を離す。
「うぅん…酷いなァ…ぁは」
そう口に出す中原さんに、私は異変を感じる。
_____『中原さん…酔ってます?』
「ふぇ?酔ってなんかねェよ!いつも通りだぜ!」
_あ、駄目だこの人。
そう直感で感じた私はその直感を信じ、太宰さんに電話を掛ける。
__ツーツーツー…
出なかった。
「寝るゥ…」
中原さんはその調子で寝転がろうとするので、私は中原さんの脛を蹴った。
「ゐ゙ッ…ッタ!…痛過ぎだろ。手加減とかいうものを知らねェのか?手前は」
中原さんは酔いが覚めたのか、いつもの調子でそう云った。
中原さんは、私が蹴った場所が痛むのだろうか。スリスリと手でその場所を摩っていた。
そして、酔いが覚めた中原さんに私は、いつも通りの調子で『重量操作で本部迄』とタクシー感覚で言い放ってみた。
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A(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )さん» こちらこそ、素敵なイベントに参加させて頂きありがとうございます!!りりり様に言われては、更新頑張るしか無いですね……頑張ります! (2023年4月10日 15時) (レス) id: f26a97b124 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )(プロフ) - Aさん、イベントご参加ありがとうございました〜!! 双黒以外にも姐さんや首領との絡みが見れて文スト民として嬉しい限りでした…!これからの中也と太宰との任務も気になる…!! これからも更新頑張ってください!! (2023年4月9日 23時) (レス) @page15 id: d3e59adc40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:A | 作成日時:2023年3月29日 6時