第二十五話 「残業」 ページ27
「手前はどんな仕事だったンだ?」
隣で歩く中原さんがそう私に問い掛ける。
『不発弾の処理ですね』
「うわッ、青鯖の野郎が喜びそうな仕事だなァ…」
中原さんは少し厭そうな顔をしてそう云う。
『確かにそうですね』
「……というか、手前、幹部補佐はどうだ?」
中原さんが話を切り替える。
『大変、怖い、頭可笑しい、意味分からない、意外と快適』
「……どっちだよ」
『厭ですけど、想像してたよりはマシですね』
「へェ……」
中原さんは目を逸らし、少し淋しそうな顔をする。
「あ、俺此方行くから」
『分かりました。ではまた』
私がその一言を告げると、中原さんは手を振り乍ら私とは違う方向へと足を進めて行った。
そして、暫く月明かりの照らすポートマフィア本部の廊下を歩き進める。
__歴代最年少幹部である、太宰治の執務室である
『……太宰さん、どうか居ませんように!』
そんな願いを口にして、扉を開く。
『あ、居ない』
『やったぁああああああ!!』
私は1人の執務室の中で迷惑にならない程度に騒ぎ立てる。
『……あ、報告書』
そうして、残った仕事を思い出した私は、先程の奇行を晒していた人間だとは思えない程に真面目に仕事に取り組む。
___『よし、あとはこれを提出かぁ……』
仕事を終えた私は、席を立ち上がり、目の前の扉に手を掛ける。
扉を潜り抜けた私はいつも通りの様子で歩き出す。
『最上階ってなんだよ、最上階って』
そんな愚痴を呟き乍らも、森さんの居る部屋へと向かう。
そして、最上階へと辿り着き、目の前には大きな扉。
『森さん、失礼します』
私がそう呟くと、「どうぞ〜」という物腰柔らかい声が聞こえた。
『報告書です』
私がそう云って手渡すと、
「あ、別に私の所にいちいち来なくても良いのに」
と森さんが呟く。
『え?』
「太宰君とかに渡しておいて呉れば大丈夫だから」
森さんはそう云うが、現在。太宰さんは居ない。
明日の朝渡そうものなら、忙しいから。自分で届けろ。そう云われることであろう。
『……それが、居ないんですよねぇ』
「そりゃ、今残業時間だもの」
意外にも、森さんはそんな事を云った。
『え?残業?』
「うん」
『残業代は……』
私がそう聞けば、森さんは即答で、「無いよ。」
との一言である。
「幹部になったら、あげないことも無いけど……」
そんな事を森さんは意地悪そうに呟いた
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A(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )さん» こちらこそ、素敵なイベントに参加させて頂きありがとうございます!!りりり様に言われては、更新頑張るしか無いですね……頑張ります! (2023年4月10日 15時) (レス) id: f26a97b124 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )(プロフ) - Aさん、イベントご参加ありがとうございました〜!! 双黒以外にも姐さんや首領との絡みが見れて文スト民として嬉しい限りでした…!これからの中也と太宰との任務も気になる…!! これからも更新頑張ってください!! (2023年4月9日 23時) (レス) @page15 id: d3e59adc40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:A | 作成日時:2023年3月29日 6時