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日本語を覚えるためにはどうしたらいいか？まずそこだ。
インターネットを使用するにも、ここは山奥。電波が入るかは日によるようなところだ。そうすると、必然的にインターネットという選択肢は消える。
「そういや、最近本読んでねぇな。」
_______たしか、日本語で書かれた本が書庫にあったはずだ……。それでも読むか。
そう思い立ち、オレは馬鹿でかい書斎から適当に日本語で書かれた手頃な本と、辞書を持って作業場へと戻った。
作業場にある椅子(オレが作った)に腰掛け、近くにある適当なところに辞書を置いた。
「タイトルは……『獣の奏者エリン』か？」
合っているかどうかわからないが、そんな感じのタイトルだ。
「さて、読むか。」
そう呟いてページをめくった。
全く日本語読めないかと思ったら、意外と読めた。
そして、気がつけば2時間が経っていた。
「あ。やはりここにいましたか。」
そう言って中に入ってきたのは、黒い背広を着た男性。パッと見20代後半に見えるが、実年齢37歳のウリッセさんだ。
この人は、タルボの…………。
あー。何してる人だったか……。
と、とりあえず、なかなか作業場に顔を出したがらないウリッセさんが、ここに来たことに疑問を持ったオレは、開いていた辞書と本を閉じ、顔をウリッセさんに向けた。
「相変わらずここは汚いですね。」
本人には何も悪気は無いのだろうが、この作業場を木材やらなんやらで汚くした本人にとっては痛い言葉だ。
まあ、ウリッセさん綺麗好きだしな。
「……悪かったな。汚くて。掃除すんにも、ごちゃごちゃしすぎて何がなんだかわかんなくなるんだよ。んで、こんな汚い部屋に何の用だ？」
「ん？ああ。悪気があって言ったんじゃないのですがね。気を悪くしてしまいましたか。」
若干苦笑いをしながら、ウリッセさんは続けた。
「学校の制服なんですけど、スカートとズボン、どっち着たいですか？」
学校というもの自体がよくわかってねぇからなんとも言えねぇが、制服って、スカートとズボン選べんのか？
まあ、どっちがいいと言われれば、ズボンだな。
「ズボン。」
「わかりました。男子生徒として、入学書を書いておきますね。」
そう言い残し、ウリッセさんはそそくさと部屋を出て行った。
どんだけいたくなかったんだよ。この部屋に。
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作者名：奈宇 | 作成日時：2017年11月13日 21時
